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「当社の情報が漏えいしました」──世間へどう発表すべき? タイミングは? セキュリティ専門家に根掘り葉掘り聞いてみた

ITmedia NEWS / 2024年6月12日 10時0分

 とはいえ、早急に初報を出すケースでは、その後情報の更新がないと世間の不信感につながる場合もあると木村さん。そのため海外では株主やユーザーなどからの納得を得るため、タイムライン形式で情報を更新するケースもあるという。

 以上の前提を踏まえ、あるべき情報公開の形を三者で議論。記者からは、報道記者の立場に加え、自身の情報が漏れているかもしれない当事者としての視点からも意見をぶつけた。

●三者で話す「情報公開の正しいタイミングは?」

吉川:まずは、情報公開の正しいタイミングについて議論させてください。ITmedia NEWSでもインシデントはよく取り上げますが、インシデントの発生から発表までに時間がたっていると「どうしてこんなに遅れるんだ」というコメントが出始める印象があります。

山口さん:最近は事象が発生して1カ月たつと「1カ月間どうしていたんだ」といわれるので、やはりタイミングをなるべく早く、かつ確かに情報を開示するのが求められるようになっていると思います。

 ただ、これは事実が明確であった場合です。過去、ある企業があいまいな状況で「インシデントが起きました。個人情報が盗まれたと思われます」と公表したケースがあったんですが、結果としてSNSでの(事実に基づかない)風評被害につながり、株価が下落する事態が発生しました。

 ですので、早さと合わせて情報の正確さも必要になります。ただ、初動のときは分からない情報もあります。その場合は、被害をより大きく見積もっておいた方が、きっちりしたリスクマネジメントと捉えられることにつながると思います。

吉川:印象だけの話をすれば「第2報で漏えい件数が増えた!」みたいなケースは、悪いイメージですよね。なるべく早い発表が必要な点についても同意します。たまに事象の発生から半年とか1年とかたってからの発表もありますが「都合が悪いから隠していたんだろ」といった声がすごく多くなる印象です。

 同様に賛否があるのは……金曜夜や夕方の発表ですね。どうしてもビジネス系の話題は休みを越せず、週明けには“鎮火”する傾向が多い印象なので「話題にならないよう、狙ったのでは?」という意見も散見されます。もちろん、金曜日に発覚してその日に発表する、というケースもあるとは思うんですが……この辺り、クライアントとコミュニケーションすることはあるのでしょうか。

山口さん:われわれは「こういう情報を分析して、整理すべき」という部分の専門家で、いつ発表すべき、というところまでアドバイスはしないんです。そこから先は広報戦略ですよね。そもそも公表するか否かは、広報や法務、そして経営判断によるところが大きいので。

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