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ニッチだが奥深い「映像伝送」の歴史 アナログからデジタルまでの変遷を総ざらい

ITmedia NEWS / 2024年6月20日 16時25分

 スイッチャーシステムもデジタル・コンポーネント対応のものが登場し、この信号処理方式は現在も多くのスイッチャーの基礎となっている。

 その一方でパッチベイは、3本の映像信号のほか、水平同期信号と垂直同期信号の計5本をつなぎ換えるのは煩雑であるだけでなく、アナログと違ってつなぎ間違えると全く絵にならないところから、マルチコネクターを使用するようになっていった。ただ後述するシリアル・デジタル伝送方式の登場により、マルチケーブルを使うパラレル・デジタル伝送方式は、比較的短命に終わった。

 一方で1988年に登場したのが、コンポジットデジタルVTR「DVR-10」である。DVR-10からは、ケーブル1本のデジタル・コンポジット信号が入出力できるほか、アナログ・コンポジット信号も入出力できる。つまり従来のメインであったアナログ1インチVTRをこれに置き換えることができる。システムはアナログだが、VTRだけはデジタル、というハイブリッドシステムが生まれた。

 放送局への納品も、アナログの1インチテープからDVR-10用のD-2カセットテープへと変わっていったことから、テレビ番組制作でメインに使用された。

 D-2はアナログ1インチVTRよりもダビング特性は良かったが、画質的にはデジタル・コンポーネント方式(D-1)のほうが上であった。D-1システムはフルデジタルで組まれることが多かった事から、ダビングによる画質劣化がなく、テレビCM合成などで主力となっていった。

 デジタル・コンポーネント方式は、パラレル接続ではケーブルがコンポジットの3倍以上必要であったが、この課題を解決すべく、ソニーがケーブル1本でデジタル・コンポーネント信号を伝送できる、シリアル・デジタル伝送方式を開発した。これがのちの、SDI(Serial Digital Interface)である。

 SDIは、DVR-1000の後継機である「DVR-2000」に搭載され、D-1システム構築の大幅な省力化に貢献した。SDIの登場年にはっきりした資料がないが、DVR-2000の発売が1990年であり、少なくともそのころにはSDIの編集システムが存在したことから、だいたいそのあたりから普及が始まったものだろう。なお同じケーブル1本でデジタル信号が伝送できるD-2方式とは、互換性がない。よって両方のシステムを持つプロダクションでは、ケーブルの色を分けるなどして対応した。

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