“どの次元”でも車輪のように転がる“球以外の図形” カナダの数学者らが発見 体積は常に球より小さい形状
ITmedia NEWS / 2024年6月24日 8時5分
「ルーローの三角形」(Wikipediaから引用)
カナダのマニトバ大学などに所属する研究者らが発表した論文「Small volume bodies of constant width」は、どんな次元でも一定の幅を保ちながら、球よりも小さい体積を持つ図形を発見した研究報告である。
「定幅図形」とは、円や球のように転がした時に高さが変わらない(どの方向から見ても幅が同じ)図形である。円や球とは別の例として、曲線の辺を持つ「ルーローの三角形」が挙げられる。またイギリスでは、20ペンスや50ペンス硬貨の形状として知られる正七角形の曲線版も同様の特性を持つ。定幅図形であることにより、これらの硬貨はどの方向から挿入されても自動販売機で認識される。
重要なのは、これらの円や球以外の形が、同じ幅の円や球と比べて小さい面積や体積を持つことである。しかし、これが4次元や5次元、さらにはそれ以上の高次元でも成り立つかどうかはこれまで不明であった。
高次元の図形は可視化することができないが、数学者は2次元や3次元の図形を論理的に拡張することでそれらを定義できる。研究チームは、あらゆる次元において、同次元の球よりも小さい一定幅の図形の集合を発見した。
証明の第一歩は、n次元の球を考え、それを2n個の等しい部分に分割することである(2次元の円なら4つ、3次元の球なら8つ、4次元の球なら16、というように)。そして、数学的にこれらの部分を引き伸ばしたり押し縮めたりして、幅を変えずに形を変化させた。
研究チームは、このような変化を加えることで、同次元の球の体積の0.9^n倍以下の体積を持つ形状を常に得ることができることを証明。つまり、より高次元に移行するほど、一定幅の図形は球と比べて相対的に小さくなることを示した。
Source and Image Credits: Arman, Andrii, et al. “Small volume bodies of constant width.” arXiv preprint arXiv:2405.18501(2024).
※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2
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