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「素数」はランダムではない 出現周期に現れる“偏り”とは? 2016年発表の論文を紹介

ITmedia NEWS / 2024年7月4日 8時5分

「素数」はランダムではない 出現周期に現れる“偏り”とは? 2016年発表の論文を紹介

「素数」はランダムではない 出現周期に現れる“偏り”とは?

 米スタンフォード大学と米タフツ大学に所属する研究者らが2016年に発表した論文「Unexpected biases in the distribution of consecutive primes」は、長年、ランダムだと考えられてきた素数の出現パターンに、予想外の規則性が存在することを発表した研究報告である。

 素数は、1と自身以外で割り切れない数であり、他の全ての数は素数の積で表現できるため、数論の基礎を理解する上で極めて重要である。しかし、ある数が素数であるかどうかを予測する方法は存在せず、数学者たちは素数がランダムに出現すると考えてきた。

 研究者たちは、最初の1億個の素数を調査し、興味深いパターンを発見した。1で終わる素数の直後に再び1で終わる素数が現れる確率は、わずか18.9%であると判明。7以上の素数の下一桁は必ず「1」「3」「7」「9」のいずれかになるため、もし素数が完全にランダムに分布しているなら、この確率は25%になるはずである。

 1で終わる素数の後には、3や7で終わる素数が予想以上に多く現れ、それぞれ約30%の確率で出現。9で終わる素数は約21.8%の確率で1の後に現れ、同様のパターンは他の末尾の組み合わせでも観察できた。全ての組み合わせにおいて、予想されるランダムな値からの偏りが見られたのだ。

 このことは、このパターンが素数自体に内在する性質である可能性を示唆している。ただし、このパターンは、より大きな数を調べるにつれて、徐々にランダムな分布に近づいていく傾向がある。具体的には、このバイアスの大きさが「loglogx/logx」のオーダーで減少すると予測している。

 Source and Image Credits: Lemke Oliver, Robert J., and Kannan Soundararajan. “Unexpected biases in the distribution of consecutive primes.” Proceedings of the National Academy of Sciences 113.31(2016): E4446-E4454.

 ※ちょっと昔のInnovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。通常は新規性の高い科学論文を解説しているが、ここでは番外編として“ちょっと昔”に発表された個性的な科学論文を取り上げる。X: @shiropen2

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