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コロナ禍で受注ゼロ──「地獄のように感じた」 トヨタも導入「ハッカズーク」CEOが語る、どん底と復活

ITmedia NEWS / 2024年7月16日 15時14分

 「しかし、新しくて市場が出来上がっていないような時期にプロダクトの導入を決める企業は、ハイテクマーケティング論の『キャズム』で言えばイノベーター中のイノベーター。規模が大きく、課題に対するアンテナが高く、志もあり、挑戦しようという経営者がいる。そうした大手かつ業界でも試金石的な存在の企業の採用が進んだことで、僕はこの頃、『市場ができてきた』『PMF(プロダクトマーケットフィット)した(市場に受け入れられた)』という最初のカン違いをしたのかもしれません」

 その後、鈴木CEOの想像よりは小さな成長の波を繰り返しながら、2020年を迎えたハッカズーク。日本の大手企業の多くは3月決算だ。見込顧客の中で、4月からの次年度予算での採用が決まりそうな企業は増えていた。

 その矢先に、新型コロナウイルス感染症の拡大と緊急事態宣言の発令があった。「資金調達のタイミングと重なっていたこともあって、当時は生きた心地がしなかった」と鈴木CEOは振り返る。

 「2020年3月に入った頃から、商談中の企業担当者に連絡しても返事が遅くなり始め、緊急事態宣言が出てからは連絡がつかなくなりました。担当者は人事企画や人材企画の方が多く、後日、リモートワーク環境やワークフローの整備、労務問題の解決など、今までにない対応を迫られていたと聞きました」

 意思決定層の経営陣も、中期経営計画の見直しや決算発表の見送りなど、ビジネスの見通しが立たない状況下にある。精神的にも金銭的にも新しいサービスを活用する余裕がある状態ではなかった。

 「目の前の社員のケアと未来のためのアルムナイとの関係構築。『比べられるようなものではなく、どちらも大事だと分かっている。でも今は未来のことに手が付けられない』とクライアントにも言われました。単発でのコンサルティング案件などを除けば約4カ月間、新規受注がありませんでした。新規受注が止まって4カ月たってからの初めての受注は、よく覚えています。うれしいというより、忘れていた感覚にちょっと慣れない、戸惑いのようなものがありました」

●身に染みた「最悪への備え」と株主・社員からの信頼

 同時期に行っていた資金調達は、どのような状況だったのか。

 「よく『着金するまでが資金調達』などといいますが、株主の皆さんと話し始めてから着金までの期間が、ちょうど緊急事態宣言発令からの1カ月半にあたっていました。まだ会社も小さく、数人でしたが、それまでほぼ毎日会っていた仲間とも会えず、VCの方との打ち合わせもリモート、先方の社内確認にも時間がかかるため、払込に向けた進捗確認の返事も遅くなりがちなところに、見込顧客とは次々と連絡がつかなくなり、受注が立たない。地獄のように感じました」

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