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炎上が収まらない「アサクリ問題」ってどうなってるの? ゲーム好きマンガ家が状況を整理してみた

ITmedia NEWS / 2024年7月28日 13時53分

炎上が収まらない「アサクリ問題」ってどうなってるの? ゲーム好きマンガ家が状況を整理してみた

 以前、この連載でも取り上げた、ゲームソフト「アサシンクリード シャドウズ」に関する、いわゆる「アサクリ問題」が、今も炎上を続けています。様々なところへ飛び火し、5月時点では考えられないほど大きくなって、アサクリの制作・発売元であるUbisoftが謝罪文を公開するに至りました。

 この問題、何が起こっているのか非常に分かりにくくなっていますので、今回はその内容を整理してみたいと思います。

 アサクリ問題は、アサクリ シャドウズの主人公、ならびにゲームの内容についてまとめた動画が公開された日に始まりました。日本が舞台のゲームなのに、主人公が黒人の侍「弥助」であったことと、映像内の日本の描写におかしな部分が散見されたこと、この2点が炎上の火種となりましたが、それだけなら少なくとも日本国内でここまで大きく燃えることはなかったでしょう。ゲームのトンデモ表現なんて、洋の東西を問わず日常茶飯事です。

 しかし、Ubisoftの制作スタッフが雑誌のインタビューなどで、弥助を「私たちの侍」として起用したこと、「日本では斬首は珍しい光景ではありませんでした」といった誤った歴史認識を語ったりしたことで「日本を軽視している」と捉えられたり、特定の思想の影響を懸念したりする声も上がり、そこから一気に炎上してしまいます。インタビューの一部をサイレント修正したことも火に油を注ぎました。

 さらに、後で公開された映像や作品のコンセプトアートの中から、様々な画像を無断使用しているのではないかという疑惑も浮上。そのうち1つは本当に無断使用だったことが判明します。Ubisoftは一度謝罪したのですが、その後の対応も誠実なものとはいえませんでした。もうアサクリというより、Ubisoftという企業の体質に疑問符が付けられている状況です。

 そしてもう一つ、弥助問題にも大きな動きがありました。海外で注目を集め、大手メディアが取り上げたり、映画化や舞台化などの動きもあったりする弥助ですが、それら多くの根拠となっていたとみられるトーマス・ロックリー氏らの書籍が、ごく少ない史料をもとに書いた物語であるはずなのに、ノンフィクションとして販売されているのです。

 さらにWikipediaの弥助に関するページを、発売前だった自分の書籍を参考文献として編集していた疑惑まで浮上。もはやアサクリから離れた歴史問題として大炎上中です。

 このように、最初はゲームの表現上の問題だと思われていたアサクリ問題ですが、様々な問題が複雑に絡み合い、とても大きな騒ぎとなってしまいました。Ubisoftの謝罪文も、これら多くの問題に対して説明不足で、画像無断使用についての謝罪もなかったことから火消しには至らず、この問題はまだまだ尾を引きそうです。

 ゲーム自体は内容の修正をしているようですが、予定通り11月12日にちゃんと出せるのか、そもそも発売できるのか……今後も目が離せそうにありません。

●著者紹介:サダタロー

1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。

●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場

漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる~く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。

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