1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

若手セキュリティ人材に知らせたい、「ちゃんと守れた」を伝える訴求力 「問題が起きない=評価されない」にしない考え方

ITmedia NEWS / 2024年8月23日 11時35分

阿部:イエラエの場合、3つの領域、それぞれ5つの業務で15分野に分けた後、その1個1個の“箱”にさらに4段階のレベルを分けています。レベル4まで行けばじゃあ次はこっちにしよう、というかたちで。実力がポイントになっているので、それがそのまま給与にもマッピングされるようにしています。これはSOCですけど、イエラエでは他の分野でも同じようなスキームが採用されるようになりました。

──辻さんも、会社内で「部下を育てろ」みたいな指令はないんですか?

辻:「お前のコピーを作れ」って言われたことも過去にありますが、いつも跳ねのけています。それは自分がすごいとかいう意味ではなくて、コピーを作る必要なんてないですし、そんなにオススメできるものでもないと思っているからです。いつも一人で決めて、自分でやるみたいなのが板についてしまっているんですが、誰かを育てる、というのも興味はあります。

阿部:個々の技術については教えることはできると思うんですが、組織としての観点であると、マネジメント領域ならPMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)や情報処理安全確保支援士といった資格をただ単に取ればいいというわけでもなく、組織ごとに必要な人材もスキルも違うはずです。

辻:そういう意味だと、僕は何かを教えたいというよりも、若い人たちと日常会話をたくさんしたいですね。若い人が何に価値を見いだしていて、どんな考えを持っているのか、お互い分からないじゃないですか。与えるだけじゃなく、僕が得られるものもたくさんあるから、技術というよりも対話がしたいです。そうすれば、お互いの視野がもっと広くなるはず。それが足りていない気がしますね。

 「お前もおっさんになったら分かる」というフレーズほど、若い人に刺さらない言葉ないじゃないですか(笑)。押しつけがましくならないように、会話の中で価値観の1つとして伝えられるといいですね。

阿部:方向性を見いだしてあげる必要があると思います。「ペネトレーションテストをやりたい」という言葉のその裏にある、“なぜ”を掘り下げていく。それが純粋に技術として楽しいからだとしたら、じゃあなぜ技術を楽しいと思えるかを掘っていくと、だんだん人間味が出る方向になってくると思うんです。

 よくある例え話なら「君はなぜ石を積んでいるんだ?」と。石を積む仕事だからか、家を建てようとしているからか、いやこれは今後立派な教会になって、いろんな人を救うんだとか。そういった視点を高めてあげれば、技術をやりたいという思いが、何をかなえたくてそう思っているのかっていうところに自覚的になっていけると、自然と視野が広がっていく。それが大人の役割なのかなというのを、40代になって思い始めています。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください