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いつ来るか分からないものにどう備える? 初の「南海トラフ地震臨時情報」発表で見えた混乱

ITmedia NEWS / 2024年8月21日 11時19分

いつ来るか分からないものにどう備える? 初の「南海トラフ地震臨時情報」発表で見えた混乱

 8月8日午後4時43分ごろ、宮崎県沿岸沖を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。もっとも大きな揺れは日南市の震度6弱で、筆者の住む宮崎市は震度5強を観測した。

 当日筆者はマンション3階の自室で原稿執筆中だったが、最初は小さな揺れが数秒続き、小さいが大丈夫だと感じた直後、大きな横揺れを感じた。震度5強と言えば、東日本大震災の際に、当時住んでいたさいたま市で体験した震度と同じである。

 のちの報道では、「突き上げるような強い揺れを感じた」という報告もあったが、筆者宅ではそのような縦揺れはなく、横揺れのみであった。幸い倒れたのは積み上げていたダンボールの空箱ぐらいであったが、食器棚が食器を乗せたまま滑って少し位置がズレていた。それだけ横揺れが長かったという事だろう。

 宮崎県の沿岸部沖を日向灘というが、ここを震源とする地震は7月27日にM3.6、7月30日にM5.2と、連続して起こっていた。宮崎県ではある意味これで、地震に対する意識が高まっていたところであった。

 県内では重軽傷者10人、住宅70棟あまりが損壊するなどの被害が出たが、死者がいないことが幸いであった。ニュースになっていない範囲では、建物の内外に亀裂が入る、商業施設ではスプリンクラーの配管が壊れて商品が水浸しになるといった被害があり、今も一部で安全確認と被害修復のために休業している店舗がある。

 筆者の住まいは海岸から2km程度しか離れておらず、震源地にかなり近い場所だが、周囲にはそれほど大きな被害は見られなかった。むしろ遠く離れた日南市のほうが揺れが大きく、また宮崎市から40km以上も離れた都城市でも宮崎市と同じ震度5強を記録している。震源地から離れれば揺れは小さいという常識を覆す結果となったのも、この地震の特徴であろう。

 7月の2つの地震は、南海トラフとの関連性は認められないという結論だったが、8月8日の地震は南海トラフとの関連性ありと判断された。気象庁は制度改正後初めてとなる「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。期限を1週間、8月15日までとした。

●埋もれてしまった臨時情報

 その後余震は執筆時点で18回あったが、一度震度3クラスがあったものの、その他は震度1程度である。地元では報じられているが、この規模では全国ニュースにはなっていないだろう。

 翌日には神奈川県南部を震源とするM5.3の地震があり、メディア報道は一斉にそちらに切り替わった。首都圏に人口が多いことはもちろんだが、そもそも大手メディアが全て東京に集中しているだけに、首都圏の意識は一発でこれに切り替わった。この地震は南海トラフとは関係なしという見解はすぐに出されたが、これによって南海トラフへの注意警戒は分散された格好になってしまった感は否めない。

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