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いつ来るか分からないものにどう備える? 初の「南海トラフ地震臨時情報」発表で見えた混乱

ITmedia NEWS / 2024年8月21日 11時19分

 ここ宮崎市内では水の買い占めなどは特に起こらなかったが、震源地から遠く離れた東海地方ではかなりの買い占めが起こった。ここは長いあいだ東海地震が想定されていた地域であり、同時に南海トラフの東端に位置することから、特に警戒感が高まったものと思われる。

 また「令和の米騒動」ともいわれる現象が各地で報告されている。もともと今年は米の流通量が不足気味のところに、今回の地震臨時情報を受けて備蓄に走った家庭が多かったことから、一気に状況が悪化した。

 地震は、揺れそのものの被害もさることながら、東日本大震災では津波によって、能登半島地震では火災によって被害が拡大した。地震対策の難しさは、揺れそのものへの対応だけでなく、その後に起こる事態にも対応しなければならないことである。

 かき入れ時ともいえるお盆休み中の海水浴場も、一時閉鎖や営業中止を決めたところが多かった。閉鎖するまでもなく、利用者側からのキャンセルも相当あっただろう。和歌山の白浜海水浴場では、1週間の閉鎖で旅館組合からは5億円近い損害が出たという。花火大会を中止にした自治体もあり、今後も経済損失額はさらに積み上がるものと思われる。

 一方で静岡の熱海や伊東のように、「遊泳注意」の黄旗を掲げて営業を継続したところもあった。これらの地域ではもう長い間地震対策が行われており、観光客への避難誘導も問題ないと判断したようだ。

 「南海トラフ地震臨時情報」の難しいところは、「だからどうするべきなのか」を国民側の判断に任せているところである。行動を自粛するべきなのか、あるいは注意しながらも経済を回すべきなのか。そもそも1週間という期間は妥当なのか。

 何も起こらなかったことは幸いだが、今後も引き続きた臨時情報が出されても、「結局何も起こらない」ことが続けば、感覚はまひしてしまう。地震の度に南海トラフと関係ありかなしかを判断をするという重要性は理解できる。ただ関連があった場合の情報の出し方はこれでよかったのか。

 引き続き警戒が必要といわれても、人間そんなに長くは注意力が保たない。そもそも予知ができないという前提であれば、避難できる用意をした上で通常通りの生活、といった規範を示すことが、現実的な解だったのではないだろうか。

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