“VTuberの中の人”をこっそり撮影→第三者に無断送信＆誹謗中傷 フリー音楽家の“蛮行”に「にじさんじ」運営、怒りの声明

VTuberグループ「にじさんじ」運営のANYCOLOR、所属VTuberが権利侵害行為を受けたとして声明

　「筆舌に尽くしがたい蛮行の疑いが生じているのは、極めて遺憾」──VTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLORは9月2日、所属VTuberが権利侵害行為を受けたとして声明を発表した。

　事の発端は、いわゆる“暴露系YouTuber”として知られるコレコレ氏の配信。同氏は9月1日、にじさんじ関係者に違反行為があったと告発するライブ配信を行った。それによると、にじさんじに関連する業務に携わったフリーランスの音楽家が“VTuberの演者とされる人物”の容姿をひそかに撮影。その写真を誹謗（ひぼう）中傷に当たる文言を含む形で、第三者に無断送信していたという。

　ANYCOLORが調査を進めたところ、指摘された写真の撮影時期や撮影地、被害者などが判明。さらに「所属VTuberの身体に対する不法な有形力の行使がなされた疑いもある」という。しかも音楽家は、ANYCOLORがこれまで楽曲提供などを依頼していた人物だった。

　ANYCOLORは一連の調査結果について「この音楽家によって、本件のような、当社所属ライバーを傷つけ、また、当社とクリエイターとの間の信頼関係の基盤をも揺るがしかねない筆舌に尽くしがたい蛮行がなされた疑いが生じていることは、極めて遺憾」と言及している。

　ANYCOLORは、音楽家と結んでいる契約を解除し、秘密保持義務違反、プライバシー権侵害、名誉・信用の毀損（きそん）、その他の権利の侵害を理由とする法的対応を実施する予定。VTuberを被害者とする暴行罪、迷惑行為防止条例違反などによる刑事事件化も視野に入れ、引き続き調査を行う方針を示している。

　さらに、音楽家が関与した「歌ってみた」などのコンテンツや、音楽家から楽曲提供などを受けたことが推察できる所属VTuberのSNS投稿については「本件の被害者を詮索する端緒となり得るものであるため、コンテンツについては一時的に非公開とし、SNSの投稿は削除している」（ANYCOLOR）という。

　SNS上では、ANYCOLORの役職員や所属VTuberのマネジャーによる犯行を疑う声もあったが、ANYCOLORは「それらの人物が加害行為に関与したという主張を基礎付ける根拠は、当社として一切把握していない」と説明。悪質な行為は、証拠保全の上で法的対応も検討するとし、虚偽情報の流布は控えるよう求めている。

　「本件に関して不安を抱いている当社所属ライバーに対して十分なケアを実施するとともに、一刻も早い本件の解決を目指す」（ANYCOLOR）