1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

「最初はVCの存在知らなかった」「もっと早く権限移譲できればよかった」 akippa金谷CEO語る“波乱のスタートアップ人生”

ITmedia NEWS / 2024年9月6日 8時10分

 そこで着目したのが「駐車場は現地に行ってから初めて満車だと分かる」という課題だった。そして14年、空きスペースを駐車場として貸し借りできるサービスを立ち上げるに至った。

 サービス立ち上げ当初は成果型求人サイトの時と同様、営業力がものを言い、駐車場オーナーの獲得はスムーズに進んだ。しかし、駐車場を借りるエンドユーザーの獲得に苦戦。ただ求人サイト時代と違ったのは、株主のマーケティング知識が豊富だったことだ。リスティング広告に詳しい担当者を採用したことも大きく影響し、テレビ出演などの広報活動も功を奏して、ユーザーを集められるようになったという。

●黒字化目前にコロナ禍到来

 18年11月、アキッパは登録会員数が累計100万人を超え、19年夏には月間売り上げが1億4000万円を突破した。しかし黒字化を目前にして、新型コロナウイルス感染症が流行し始め、外出自粛の動きが広がる。特にイベント中止や延期に伴い、レジャー目的での駐車場利用はキャンセルが増加していった。当然、akippaも事業の見直しが必要になった。

 「まずコストを1つ1つ見直し、パンデミックがどのくらい続くかによって、事業計画を4パターン用意しました。もし半年後にパンデミックが収束しても、その時に人がいなければ成長は作れません。でも3年も4年も続いたらどうするか検討しなければいけない。難しかったですが、人件費以外のところでかなり固定費を削りました」

 結果として無駄なコストの見直しが進み、筋肉質になったと金谷CEO。通勤などで電車での移動を避けるユーザーの利用が、20年5月ごろから伸び始めていたため、最悪の事態を脱することができた。

 もう1つ、コロナ禍は事業戦略そのものを見直すきっかけにもなったという。akippaのプロダクト開発チームはそれまで、営業やビジネス部門から言われたものだけを開発する“社内受託”のような状態で、プロダクトの力でユーザーの行動変容を促すような機能開発ができていなかったという。

 「(コロナ禍がなく)そのままいけば営業の力で駐車場が増え、線形の成長をして、利益も出ていたとは思います。しかしコロナ禍があったので、プロダクトを強化し、プロダクトの力でも成長できるように、営業力との両輪でやっていこうと考える時間ができた。今のやり方のほうが先の成長が作れているはず」

 実際に金谷CEOは21年、事業成長の方向性を変更。営業力とプロダクトの力の“両輪”での成長を目指す方針を社内で掲げた。これを踏まえ、現在は駐車場のオーナー自身がアキッパに情報を登録できるような機能を開発に着手。メルカリのような「マーケットプレース型」のサービスとしての成長も視野に入れているという。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください