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量子もつれで“消えるメッセージ”を送信できる「量子ホログラム通信」 中国の研究者らが開発

ITmedia NEWS / 2024年9月11日 8時5分

 実験では、特殊な結晶とレーザーを使って量子もつれ状態にある光子対を生成し、その一方の光子(シングル)をメタサーフェスに通すことでホログラムを作成した。このホログラムには「H、D、V、A」という4つの文字が表示されるよう設計した。

 もう一方の光子(アイドラー)の観測方法を変えることで、ホログラムの内容を遠隔で制御できるかを検証したところ、実証に成功した。具体的には、光子の経路に偏光子を挿入し、その角度を変えることで、ホログラム中の特定の文字を選択的に消去できた。例えば、水平方向の偏光子を用いると「H」の文字が消えるといった具合である。

 この量子通信は、専門的だが、その影響は広範囲に及ぶ可能性がある。量子通信は、金融取引から個人データに至るまで、あらゆる通信でのセキュリティを強化するからだ。今後の展開としては、暗号鍵を安全に共有する量子鍵配送(QKD)のテストをしたいとしている。

 この研究は、サンディエゴで8月に開催の「SPIE Optics + Photonics」において発表された。この記事の内容には、この講演で発表された内容も含まれていることに留意したい。

 Source and Image Credits: Liang, Hong, et al. “Metasurface-enabled quantum holograms with hybrid entanglement.” arXiv preprint arXiv:2408.10485(2024).

 ※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2

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