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宝くじに14回当選した男 「全通り購入」という力技に行き着いた結果は? ドイツの研究者が分析

ITmedia NEWS / 2024年9月19日 8時5分

宝くじに14回当選した男 「全通り購入」という力技に行き着いた結果は? ドイツの研究者が分析

宝くじに14回当選した男の手法、ドイツの研究者が分析

 ドイツの研究者が発表した論文「On the Lottery Problem: Tracing Stefan Mandel’s Combinatorial Condensation」は、1960年代に14回も宝くじに当選したルーマニアの数学者・ステファン・マンデルさんの手法を分析した研究報告である。マンデルさんが初期に用いた手法「Combinatorial Condensation」は長年謎に包まれていたが、この研究はその手法を解明しようと試みた。

 マンデルさんは最初、ルーマニアの「6/49宝くじ」に挑戦した。この宝くじは1~49までの数字から6つを選ぶ形式(1398万3816通り)である。彼の戦略は49個の数字から15個を選択し、これらの15個の数字から6つを選ぶ全ての組み合わせ(5005通り)を考え、独自のアルゴリズムを用いてこれを569の組み合わせまで減らすというものだった。これは数学的には「カバリングデザイン」に相当すると分析している。

 この手法の特筆すべき点は、6/49宝くじで少なくとも5個の数字を的中させる確率を99.9%まで高められることだ。つまり、ほぼ確実に2等以上の当選が見込まれるのである。しかし、1等の大当たりを引く確率は依然として0.036%(約2794分の1)と低かった。

 研究チームはマンデルさんがこの手法を開発した1960年代の状況を詳しく考察している。当時はコンピュータも電卓も一般的でなかった時代だ。マンデルさんは紙と鉛筆だけを使って、何カ月もかけてこの複雑な組み合わせを計算したと推測される。全ての可能な組み合わせ(5005通り)を書き出し、それを569通りまで絞り込む作業は、途方もない労力を要したはずだ。

 興味深いのは、マンデルさんの手法が現代の数学理論を先取りしていた点である。彼が構築したと思われるカバリングデザインは、コンピュータを使った本格的な研究が始まる何十年も前に作られたものだ。当時の数学者たちが3つの数字を当てる確率の研究をしていた段階で、マンデルさんは既に5つの数字を当てる方法を編み出していたのである。

●宝くじを「全通り購入」する必勝法に切り替え 結果は?

 マンデルさんは自身の手法に内在するリスクにも気付き、後年、別の戦略に切り替えている。これは「Buying the pot」と呼ばれ、宝くじの全ての組み合わせを網羅的に大量購入する方法である。

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