絵画「真珠の耳飾りの少女」の魅力、脳科学で解明 目と口と真珠の“3点ループ”が持つ秘密とは
ITmedia NEWS / 2024年10月18日 14時48分
ヨハネス・フェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」(マウリッツハイス美術館の公式Webサイトから引用)
オランダのマウリッツハイス美術館は、ヨハネス・フェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」などを含む絵画の魅力を脳科学的に分析した実験結果を発表した。
研究は2段階で実施した。第1段階では、20人の参加者が脳波測定(EEG)ヘッドセットとアイトラッカーを装着してマウリッツハイス美術館の特定のルートを巡回し、5つの実物の絵画を鑑賞した。その後、同じ10人の参加者が美術館の図書館で3つの絵画の複製を鑑賞。第2段階では、アムステルダム大学で20人の参加者にMRI装置で脳活動を調べる「fMRI」を実施し、5つの絵画の複製を見せた。
結果によれば、美術館で実物の絵画を見ることと、同じ絵画の複製を見ることでは、脳の活性化パターンが異なることが判明した。美術館で実物の絵画と対面した際の鑑賞者の感情的反応は、複製を見た場合の10倍も強いという。
さらに「真珠の耳飾りの少女」は、他の絵画とは異なり、特殊な視線誘導「Sustained attentional loop」(持続的な注意のループ)によって鑑賞者の視線を捉え続けることが分かった。
鑑賞者の視線は、まず少女の目と口に向けられる。そして、その後視線は真珠へと移動し、再び目と口に戻り、また真珠に戻るというパターンを繰り返す。この循環的な視線の動きが、他の絵画よりも長時間にわたって注目させる要因となっている。
さらに驚くべき発見がある。「真珠の耳飾りの少女」を見る人の脳では、楔前部(けつぜんぶ)と呼ばれる部位が最も強く活性化することが明らかになった。
楔前部は自己認識、自己内省、個人的な記憶に関与する脳の領域。つまり「真珠の耳飾りの少女」を見ることで、鑑賞者は無意識のうちに自己と向き合い、個人的な経験を想起している可能性がある。この反応は、他の4つの調査対象絵画と比較しても、「真珠の耳飾りの少女」において特に顕著だった。
※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2
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