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「桜井政博のゲーム作るには」最終回で語られたこと 制作費は約9000万円、そして2年半前に収録がほぼ完了していた理由

ITmedia NEWS / 2024年10月23日 18時33分

「桜井政博のゲーム作るには」最終回で語られたこと 制作費は約9000万円、そして2年半前に収録がほぼ完了していた理由

前回までの動画に映っていたのは2年半前の桜井さんだった

 元任天堂のゲームクリエイターで、「星のカービィ」や「大乱闘スマッシュブラザーズ」などの生みの親として知られる桜井政博さんが、YouTubeチャンネル「桜井政博のゲーム作るには」の最終回を10月22日夜に公開し、15時間で71万回再生されるなど注目を集めている。

 ゲーム開発では主にディレクションを担当する桜井さんは、チャンネル開設のきっかけから動画制作の裏話、そして制作費用までを赤裸々に語り、視聴者を驚かせた。例えば、全ての動画は2年半前に基本的な収録を終えていたという。どういうことか。

●数カ月でトーク部分とゲーム画面を全て収録

 2021年秋、仕事の都合でぽっかりと数カ月間の空き時間ができた桜井さんは、これまでのクリエイター人生で培ったゲーム開発のノウハウやビジネスパーソンとしての考え方を伝えたいと考えた。そこで目を付けたのが「誰でも自由にアクセスできて、資料としても残る」YouTube動画だった。

 しかし仕事が再開すれば、ゲーム開発者としての仕事や、自身が設立した有限会社ソラ代表としての仕事にも追われることも分かっていた。時間的にYouTubeチャンネルの運営を並行して行うことは難しく「勝算を上げるためには(事前に)最後まで内容を決めてしまうことは必須条件だった」という。

 1カ月かけて256話分、約30万文字の原稿を書いた。3本のパイロット版(動画)を自社で作り、任天堂などに話を通す。「さすがに驚かれたが、協力を約束してもらえた」。

 トーク部分の収録は、ソニーの「VLOGCAM ZV-1」と外付けの指向性マイクを使い、夜間に一人で行った。動画中で使うゲーム画面も自前で録り貯め。時間が掛かる編集作業については、任天堂のゲームPVなどを作った実績を持つHIKE(ハイク)に外注した。さらにゲームのローカライズなどを手がけるハチノヨンに依頼して英語版も製作する。

●制作費は260本で約9000万円

 22年8月24日、初回の動画を公開した時には「ある程度の作りため」があったという。しかし日常業務を終えてからHIKEから上がってきた動画の監修や公開作業を行うのはやはり「キツかった」ため、当初の週3回更新は週2回更新に変更せざるを得なかった。

 それから2年。最終的に「ゲームセンターCX」のコラボ動画3本と最終回スペシャルを加えて260本の動画をアップした。総視聴回数は日本語版が約6260万回、英語版が約2010万回。チャンネル登録者数は国内が61万5861人(23日現在は65万人)、英語版は59万2515人まで増えた。また桜井さんの動画は「高評価」が多いのも特徴で、ほとんどの場合99%台後半だったという。

 一方、制作費は約9000万円かかった。配信本数で割ると1本あたり35万円。しかしチャンネルは収益化していないため、収入はゼロだ。

 「なんてバカなことを、と自分でも思うが、未来のゲームを少しでも良くする投資、いやボランティア活動」と話す桜井さん。それでも「費用対効果としてはおそらく良い結果になったのでは」「今後のゲーム業界にごくわずかにでも貢献できることを心から願っている」と話している。

 なお、現状で“続き”を制作する予定はないが、今後も「まとめ番組」などは追加していくという。

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