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ネットで酷評されているドラマ「龍が如く」 龍が如く大好きマンガ家も酷評するこれだけの理由

ITmedia NEWS / 2024年11月10日 12時20分

ネットで酷評されているドラマ「龍が如く」 龍が如く大好きマンガ家も酷評するこれだけの理由

 Amazonプライムビデオで、オリジナルドラマ「龍が如く ~Beyond the Game~」の全世界同時配信が始まりました。SEGAの人気ゲームシリーズの実写化作品ということで注目を集めましたが、ふたを開けてみるとかなり酷評されているようです。何がそこまで不評なのか……龍が如くシリーズが大好きなボクもアマプラに加入して見てみました。

 今回のドラマ版は、ゲームシリーズ一作目である「龍が如く」の舞台である2005年と、その10年前の1995年の2つの時間軸で構成されています。1995年パートでは主人公である桐生一馬が東城会に入り、憧れである「堂島の龍」になるために奮闘する姿が、2005年パートでは堂島組組長殺害という「親殺し」の罪を被り極道を破門された桐生が東城会と近江連合という二大極道組織の対立に巻き込まれていく姿が描かれます。

 しかし、この桐生の人物描写があまり上手くいっていないように感じました。ゲーム版の強く優しくカッコイイ桐生に対し、ドラマの桐生はより人間臭く描かれているのですが、人物の背景や行動理念などがあまり丁寧に描写されていないために、ただカッコ悪くなってしまったように見えるのです。

 これは他の登場人物も同様で、人物描写が少ないのに変に性格をリアルにしているため、ただ性格が悪いヤツに見えたりして、全体的にゲームのキャラより小物に感じてしまいました。ゲームの龍が如くが好きな人が「コレジャナイ!」と不満を訴えても仕方がないと思います。

 また、2005年パートのメインである極道の描き方についてもボクは満足できませんでした。任侠や仁義、義理人情といった要素がほとんど描かれていないため、ゲームにあった極道たちの熱いドラマが見られないのです。龍が如くというタイトルなのに、龍が如くのファンにも、極道ドラマを期待した人にもアプローチできていないのはかなり問題だと思います。

 さらにこのドラマは1995年と2005年を行ったり来たりする構成になっているため、ストーリーや登場人物の心情の変化などがつかみにくいです。セリフも声が小さくて聞こえなかったり、全体的に画面が暗かったりと、単純にドラマとしての完成度にも不満です。他にも原作へのリスペクトが足りない部分なども散見されるので、ぜひマンガを読んでみてください。

 とにかく今回のドラマは、全体的にまとまりがなく、どんな視聴者層に、何を見てほしいのか分からないのが個人的にはすごく残念でした。こうしたゲームやマンガ等の実写化作品では、どうしても「原作改変」が話題になりますが、ボクは原作を改変すること自体に問題はないと考えています。でも、なぜ改変したのか、改変したことで何を見せたかったのかはしっかり伝わるべきだとも思っているので、今後はそんな作品がたくさん出てきてほしいと思います。

 ちなみに、龍が如くシリーズ1作目のリメイク作品である「龍が如く 極」のSwitch版が、10月25日にダウンロード専用で発売されました。こちらで是非、ドラマ版とは異なる桐生一馬の物語を体験してください。

●著者紹介:サダタロー

1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。

●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場

漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる~く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。

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