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安い電気を“買いだめ”するという発想 ポータブル電源は「家庭用蓄電システム」の夢を見るか

ITmedia NEWS / 2024年11月15日 12時22分

安い電気を“買いだめ”するという発想 ポータブル電源は「家庭用蓄電システム」の夢を見るか

 長かった夏もようやく終わり、太陽光発電の今年の成績が気になるタイミングに近づいてきた。2023年度は、発電過剰で使いきれず無駄に電力を捨てた、いわゆる出力制限量が全国で計約19.2億キロワット時に達したことが明らかになり、大問題となった。約45万世帯分の年間消費電力量に匹敵する電力が、無駄になったことになる。

 現在電力市場では、需要と供給のバランスによって、30分ごとに電力料金が変動している。こうした市場連動型の電力プランを提供する事業者もある。実際電力小売事業の「Looop」では、市場連動型電力プランとして「スマートタイムONE」を展開している。

 とはいえ、電気が安い時間帯は真っ昼間であり、その時家にいればどうにかできるが、普通は会社に行ったりして留守のことも多いだろう。安いからいっぱい使えといわれても、人が太陽光発電の都合に合わせてリアルタイムに対応するには限度がある。

 じゃあそこに家庭用蓄電池を挟んで、電気料金の安いタイミングで充電し、高いタイミングで放電するようにプログラムを入れたらいいんじゃないか、という話になる。実際そういうことができるのか、実証実験がスタートする。

 11月1日、電力小売事業の「Looop」、クラウド上で電力量印変動を監視してバッテリーの充放電を制御する「Yanekara」、ポータブルバッテリー大手の「ECOFLOW」の3社が共同で、限定100セットを市販し、最大1年間の実証実験を行うことが発表された。

 仕組みとしてはこうだ。Yanekaraが開発するクラウドサービス「YanePort」が、日本卸売電力取引所(JEPX)のデータを参照する。独自アルゴリズムにより、電力が「安い」と判断されれば、契約済みのECOFLOW「DELTA 2」に対して充電するようコマンドを投げる。「普通」の場合はパススルーで電気を右から左へ流し、「高い」場合は系統電力からの給電をカットしてバッテリー出力に切り替える。電力契約は「Looopでんき」が担当する。これにより、年間数千円の電気代節約が期待できるという。

 この実証実験は、電気代をお得にできるか、というシンプルな話ではない。現在横たわる電力問題に対する、さまざまなソリューションが含まれている。

●今、解決すべき問題とは

 ソリューションの一つは、ポータブル電源の有効活用だ。23年あたりまでは、ポータブル電源はキャンプブームの好調な推移を受けて、主に屋外で使用されていた。だがご存じのように24年はブームも沈静化してしまい、ポータブル電源も活動の場を失うこととなった。

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