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なぜ、日本で「ネット投票」が実現できないのか

ITmedia NEWS / 2024年11月18日 15時21分

 これを踏まえて、まず現在の投票システムはどのように動いているかを把握しておこう。先日の衆院選を参考にすると、われわれ有権者のところには、「投票入場券」というものが圧着ハガキで届く。展開面には氏名や住所、名簿番号などが記載されており、それを自分の分だけ切り取って投票所に持参し、受付でバーコードを読み取って有権者名簿と照合する。

 この有権者名簿は、市町村ごとにマスターファイルが管理されており、バーコードの読み取りを行うと、自治体専用回線を経由してリアルタイムに更新されてゆく。投票入場券は、単にデータベースとの照合を簡易化するためのものなので、これがなくても受付で身分証明書を提示してデータベースと照合し、本人確認ができれば投票できる。

 実際の投票は受付後に行っているので、受付した瞬間に投票済みと認定されるのは厳密にはまあちょっとおかしい話ではあるのだが、仮に投票所まで来て投票を棄権したとしても、「投票する権利は行使した」と見なされるわけである。

 実際に投票する瞬間は、選挙管理委員会から指定された立会人が同席している。この立会は、第三者に投票を強要されていないかなどの不正を防止するための措置として、公職選挙法で義務付けられている。こうした仕組みは、期日前投票でも原則的には同じである。

 そして投票時間終了後、全ての投票は複数の投票区を束ねた開票区単位で開票所に集められ、集計される。

 ネット選挙を導入すれば、「投票所」という概念がなくなるので、投票区もなくなるということになる。それなら全国の投票を1つのシステムで、という考え方もあるだろうが、日本の場合は有権者名簿が住民票とひも付いており、市町村管理なので、ネット投票では最小単位を投票区ごとか、選挙区ごとか、市町村ごととして、各地方の選挙管理委員会の元で管理運営していくというのが筋だろう。リスク分散という意味でも、小分けする意味はある。そこから先、上流への報告は、オンラインだろうがオフラインだろうが電話連絡だろうが、有権者は知ったこっちゃない訳である。

 ただ取りまとめ単位として「投票区」や「選挙区」を採用すると、選挙の種類によってその領域が変化する。一番広域化するのは都道府県知事選挙と参議院選挙区だが、逆に一番狭域化するのは市町村議会議員選挙ということになる。それだと選挙ごとに別システムを組むことになってしまうので、現実的には市町村単位であらゆる選挙に対応できるようなシステムを運用するというのが妥当だろう。

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