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「新語・流行語大賞」“が”不適切にもほどがある

ITmedia NEWS / 2024年12月3日 8時20分

「新語・流行語大賞」“が”不適切にもほどがある

ユーキャンの2024年「新語・流行語大賞」(出典:公式サイト)

 ユーキャンの2024年「新語・流行語大賞」が12月2日に発表されました。年間大賞は「ふてほど」。また新しい野球用語ですか?

 違いました。

 資料によると、今年1~3月にTBS系列で放送したドラマ「不適切にもほどがある!」の略称だそうです。個人的には大好きなドラマなのでスポットライトが当たるのはうれしいのですが、そんな言いにくい略称を使っていましたか?

 どうも腑に落ちないので、Googleでの検索数が分かる「Google Trends」を使って昨年末から1年間の数字を出してみました。

 直近の急上昇は大賞発表によるもの。それ以前で多いのは、ドラマ最終回が放送された3月24日~30日の期間で、この時のピークは「12件」でした。日本中で。

 いや、あまり知られていないだけで、実は公式の略称なのかもしれません。そこでTBSテレビから送られてきたプレスリリース(報道資料)をチェックしたのですが、放送時から10月末の「東京ドラマアウォード2024」4冠獲得のニュースまで、「不適切にもほどがある!」とフルネームで記載していました(それを取り上げたメディアの記事には『ふてほど』表記も若干ありました)。

 唯一、11月30日に発表した「TBS 冬コレ2024」(TVerとTBS FREEで名作ドラマ40タイトル超を無料配信)のプレスリリースは「ふてほど」と略しています。10月末からの1カ月間にTBS社内で何があったのかは分かりませんが、新語・流行語大賞の候補(ノミネート)が発表されたのは11月5日でした。

 2日の新語・流行語大賞の授賞式では、主演の阿部サダヲさんが「ふてほど」と言ったことはなく、「周りからも聞いたことはない」と話して笑いをとりました。「ドラマに4文字に略すと当たるというシーンもあるんですが、それで製作の人とか宣伝の人とかが考えたんだと思います」とナイスなフォローも。

 でも、やっぱり「ふてほど」は流行語とは言えないと思います。

●「界隈」って新語?

 他にも首を傾げる場面がありました。例えば「トップテン」に入った「界隈」。受賞理由には「同じものが好きな人同士でつながって楽しむような意味合いで、『界隈』が使われ始めた」とあるので「新語」枠なのかと思います。それを「いち早く報じた」として、毎日新聞デジタル報道グループさんが受賞しました。

 でも、毎日新聞の方も言っていましたが、「界隈」はけっこう前からある言葉です。以前はオタク用語、あるいはネットミームでしたが、ここ数年は世間に広がっていたと思います。

 「ニコニコ大百科」に「ふぁぼ界隈」という用語が登録されたのは11年前の2013年。ITmedia NEWSでは2019年から「この頃、セキュリティ界隈で」という連載をやってます。いち早く連載にしました。

 あるいは審査員界隈では新しい言葉だったのかもしれませんが、どうも近年は「新語・流行語大賞」と世間の認識にズレが生じているような気がしてなりません。もしかして、界隈の方々は、都営バス風のタイムマシンに乗ったりしました?

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