ネットの力を見誤った? 大反響のヤマダ積立預金、急きょ中止に ヤマダデンキは何を狙っていたのか
ITmedia NEWS / 2024年12月4日 13時24分
当時掲載していたキャンペーンバナー(現在は非公開)
ネットの力を見誤ったということなのか――。
ヤマダデンキが提供する銀行サービス「ヤマダNEOBANK」で予定されていた「ヤマダ積立預金 満期特典」が突如中止となった。このサービスは、積立預金を満期まで継続すると、総積立額の10%(通常還元5%+キャンペーン特典5%)をポイントで還元するという画期的な内容だった。
元本保証付きの銀行預金で10%の還元が最短12カ月で得られるという条件は、SNSで瞬く間に拡散。「実質年利18.5%」という破格の投資商品として注目を集めた。
1口月額5万円の積立に対し、申し込みが殺到。一部の投資家は10口、20口という大量申し込みを行い、定期預金を解約したり、借り入れをしてまで参加しようとする動きも見られた。
事態を重く見た運営元の住信SBIネット銀行は12月2日に新規申し込みを停止。同日、ヤマダデンキも「想定をはるかに上回る申し込み」「一部顧客からの大量申し込み」を理由に、特典の中止を発表した。
なお、ヤマダ積立預金がネット上で話題になったのは11月28日ごろで、翌29日にはサイトが閉鎖されていた。当時公開していたサイト上ではキャンペーンの対象期間を12月2日からとしていたことから、正式発表前に情報が拡散されていた可能性もある。
では、ヤマダデンキはこの積立預金で何を目指していたのだろうか。
●背景にあった高島屋の成功例
そのヒントは、当初のヤマダ積立預金の説明ページの中にある。ヤマダデンキはヤマダ積立預金の目的として「家具家電の購入やリフォーム資金などに向けた」資金をためられると説明していた。
毎月5000円から5万円を積み立てると、1年後には6万円から60万円になる。それを使ってヤマダデンキでテレビや洗濯機を買ったり、リフォームに申し込んだりするための積立制度――。さらっと説明ページを読むと、そのように読み取れるものになっていた。顧客の計画的な買い物を支援するため、10%の還元を設定したのは販促活動としては理にかなっていた。
実は、サービスを運営する住信SBIネット銀行には、ほぼ同様の仕組みでの成功例があった。ヤマダデンキと同じく小売業を営む高島屋だ。高島屋も住信SBIネット銀行の銀行基盤を使い「高島屋NEOBANK」という銀行サービスを提供中。そこで好評を博しているのが積立サービス「スゴ積み」だ。
これは毎月の積立額を設定すると高島屋NEOBANK口座から自動的に引き落とされ、1年間積立を継続すると1カ月分のボーナスが付与される仕組み。月々5000円から10万円までのコースが用意されており、10万円コースなら1年で120万円がたまり、さらに10万円分のボーナスが付与される。
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