“硫化水素”中毒の解毒剤、同志社大と佐賀大が開発 「多くのガス中毒患者の命を救える」
ITmedia NEWS / 2024年12月11日 13時56分
同志社大学と佐賀大学の研究チームは12月10日、硫化水素中毒の解毒剤の開発に成功したと発表した。研究チームが開発した人工ヘモグロビン化合物「hemoCD」で、硫化水素中毒の解毒作用を確認。解毒剤の投与後は、すぐ尿として排せつされるため安全性も高く、救急救命時の利用にも適しているという。
硫化水素は、火山や温泉地などで自然発生している腐卵臭を示すガス。空気よりも比重が重く、地下にたまりやすい性質を持つ。低濃度では独特の臭いを発するが、濃度が上がるにつれ嗅覚がまひして臭いを感じなくなり、毒性も顕著に現れるため死に至る可能性も生じる。
石油・ガス生産工場などでも生じる化学物質だが、その取り扱いにはとても注意が必要。中毒が発生した場合、患者本人だけではく、居合わせた医師や看護師にも2次被害が生じる危険性があるからだ。中国では10月、バイオ工場で硫化水素中毒が起き、7人が死亡している。一方、現在は硫化水素中毒に対し即効性のある治療薬は医療実装されておらず、酸素換気でゆっくりと寛解させるしか方法がないという。
研究チームは2023年、一酸化炭素とシアン中毒の同時解毒剤である「hemoCD-Twins」を開発していた。その構成成分である「hemoCD-I」について検証を進めたところ、硫化水素と反応したhemoCD-Iは空気中の酸素と反応することで、有毒な硫化水素から無毒な硫酸イオン、もしくは亜硫酸イオンへと効率よく変換することを見つけた。
マウス実験では、致死量以上の硫化水素ナトリウムを投与して中毒症状が出た後すぐにhemoCD-Iを投与することで、約8割のマウスが死亡を免れ、迅速に体内パラメーターが回復することを証明。投与したhemoCD-Iは分解されず、そのまま尿中へと排せつされることも確認した。
研究チームは「救急救命の現場ではどのような原因で中毒症状に陥っているのか、医師でも迅速に判断を下すことは難しい。救急救命の現場あるいは救急搬送中に迅速にhemoCD-Twinsを投与できるようになれば、多くのガス中毒患者の命を救えるだろう」と説明。今後も救急救命医薬品として実用化するため、研究を進めていく方針だ。
この研究成果は、国際学術誌「Scientific Reports」に12月10日付で掲載された。
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