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超巨大ブラックホールが“星の誕生”を妨げる──高解像な「110億年前の銀河の群れ」をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で捉え実証 早稲田大など

ITmedia NEWS / 2024年12月18日 17時38分

超巨大ブラックホールが“星の誕生”を妨げる──高解像な「110億年前の銀河の群れ」をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で捉え実証 早稲田大など

超巨大ブラックホールが星の誕生を妨げている可能性が高いとの研究成果を発表、早稲田大など(画像はプレスリリースより引用、以下同)

 早稲田大学と国立天文台などからなる共同研究チームは12月18日、超巨大ブラックホールが星の誕生を妨げている可能性が高いとの研究成果を発表した。NASA(米航空宇宙局)の「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」で、銀河の内部まで詳しく調査した。ブラックホールの活動が銀河に与える影響を観測により実証できたという。

 宇宙には、銀河が密集している場所とほとんどない場所がある。銀河の密集している「銀河団」の中心にある特に巨大な銀河「巨大楕円銀河」は、新しい星を作らずに古い星のみで構成される。一方、通常は星の材料となるガスが銀河の重力によって絶えず集められるため、銀河が星を作らなくなることは珍しい。

 巨大楕円銀河の形成過程には諸説ある中、銀河の中心にある巨大なブラックホールの活動により、星の材料であるガスの供給が途絶えたとする仮説が支持されているという。研究チームは、仮説について「例えるなら密室で酸素の供給が絶たれて息がだんだんできなくなるような状態」と説明している。

 研究チームは、ブラックホール活動が銀河団に与える影響を検証するため、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に搭載された近赤外カメラで、宇宙の初期段階に相当する約110億年前の銀河団を観測した。近赤外線カメラにおいて観測する光の波長域を狭める「狭帯域フィルター」を通して、星の形成やブラックホールの活動する度合いを示す水素の再結合線(電離した水素イオンが電子と再結合する際に放出するスペクトル線)の高解像なデータを得られた。

 データを解析したところ、活動的なブラックホールがいる巨大銀河では、同様のブラックホールがいない巨大銀河に比べ、星形成を示す光が出ていないことが判明した。この結果は「超巨大ブラックホールが活動する銀河において星形成が著しく妨げられていることを意味する」(研究チーム)という。過去の巨大なブラックホールの活動により、星を作らない巨大楕円銀河が生まれたという仮説を裏付ける結果としている。

 成果について研究チームは「観測した銀河団はわれわれ研究チームがすばる望遠鏡などを使って10年以上かけて調査してきた研究対象。今回ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で得られた最新のデータによって、これまで積み上げてきた銀河形成の理解や予測に対する『答え合わせ』ができるようになってきた。今後も引き続き解析を進め、残りの問題を解決していきたいと思う」とコメントした。

 研究の成果は、英オックスフォード大学出版局の手掛ける天文学と天体物理学のオンラインジャーナル「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society: Letters」に、同日付で掲載された。

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