「iDeCo改悪」は本当か? 改正で何が変わるのか、税理士に聞いた
ITmedia NEWS / 2024年12月26日 10時52分
「iDeCoが出口でステルス増税か?」とネットで話題になっている。自民・公明両党は12月20日、令和7年度与党税制改正大綱を決定。その中で触れているiDeCoの改正では、掛け金可能額が大きく増やされた一方で、出口では“改悪”もあったからだ。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後に向けた資産形成を税制優遇で支援する制度だ。加入者が毎月の掛け金を投資信託などで運用し、60歳以降に受け取る。掛け金は所得から差し引かれ、その分だけ所得税や住民税が減る仕組みで、運用時の税金も非課税になる。ただし受け取り時には課税される。NISA(少額投資非課税制度)のような完全非課税とは異なり、税金を先送りする仕組みだ。
企業年金のない会社員の場合、月額2.3万円だった拠出限度額が6.2万円に引き上げられる一方、受け取り時の税制優遇措置である退職所得控除の利用制限が強化される。制度の仕組みを知る税理士は「今後も改悪は起こり得る」と指摘する。
●拠出限度額は大幅引き上げ
改正の目玉は、iDeCoの拠出限度額の大幅な引き上げだ。自営業・フリーランスの場合は月額6.8万円から7.5万円へと0.7万円の増額となる。より大きな変更となるのが会社員の限度額だ。企業年金がない会社員の場合、月額2.3万円から6.2万円へと3.9万円も増える。
税制改正大綱では「穴埋め型による引き上げ」と表現されている。「これまでは企業型DCに加入している場合など、他の年金制度の加入状況によってiDeCoの拠出限度額が制限されていた」とfreee認定アドバイザーで税理士法人クラウドパートナーズの村井隆紘代表税理士は説明する。今回の改正では、こうした制約を緩和。企業年金制度の有無にかかわらず、全体として拠出額を引き上げる。
「加入するかどうかは自由なので、より多くの金額で加入できるようになるという点では、ポジティブな改正だ」と村井氏は評価する。
●iDeCo出口での“改悪”
一方で、同じ税制改正大綱には表立って報じられていない改正も含まれている。iDeCoの受け取り時、つまり出口での税制優遇措置の制限強化だ。
「これまでiDeCoを60歳で受け取り、5年後に会社の退職金を受け取る場合、両方に退職所得控除という税制優遇を適用できた」(村井氏)。通称「5年ルール」と言われていたこの5年という期間が、2025年度から10年に延長される。つまり最短の60歳でiDeCoを受け取る場合、退職金に対する優遇措置をフルで受けるには70歳まで待つ必要が出てくる。
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