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“視聴率に頼らない”戦略を求めて──福岡放送のデータ活用 目指すはネット動画の“再生回数”との比較

ITmedia NEWS / 2024年12月26日 13時5分

“視聴率に頼らない”戦略を求めて──福岡放送のデータ活用 目指すはネット動画の“再生回数”との比較

 各業界でデータ活用が進む中、テレビ業界にもその波が届き始めている。福岡放送(福岡市)は、約2年前にデータ活用の推進部門を設立。“視聴率に頼らない”新しいデータ戦略を構築すべく、試行錯誤を続けている。

 同社の編成局リーチ戦略部の松浦博人副部長は、その旗振り役の1人だ。リーチ戦略部が立ち上がったのは2022年。ネットやSNSの出現で、テレビを見ない人々も珍しくない時代となり、地方局の持つ力をどうやって広げていくかを検討するため、同部署が設立された。その中の業務の一つが、データ活用への取り組みだった。

 松浦さんは、テレビ業界のデータ活用について「他の業界よりも遅れているのではないか」と指摘。「良くも悪くも、視聴率という大きなデータに頼り過ぎていたのだと思う。しっかりデータを集め何かに活用したり、継続的に効果測定ができる仕組みを作ったりしてはいなかった。社内でも良い番組を作ることが最優先で、データ分析は後回しになりがちだったが、それだけでは立ち行かなくなってきた」と続ける。

 「視聴率は昔から大事なデータでそれは今も変わらないが、そもそもテレビを見る人口が減っている。ネットの再生回数というデータも存在する現代で、視聴率〇〇%って再生回数に置き換えるとどのくらいの数値なのか? それをしっかりとデータとして可視化すべく、視聴率以外のデータ活用にも取り組み始めた」(松浦さん)

●福岡放送のデータ活用、4つの取り組み

 では一体、福岡放送ではどのようなデータ活用に取り組んでいるのか。まずは「視聴データ」の収集を始めたという。視聴データとは、インターネットに接続したテレビの視聴情報のことで、チャンネルを合わせているテレビの台数や視聴エリアなどがある。このデータを集め、実際に番組を見ているテレビの視聴台数を把握している。

 「テレビは基本的に、電波を各家庭に流してそれを受信してもらう形なので、片方向のメディア。そのためデータを取得するのが難しく、ビデオリサーチが個別に調査した視聴率をデータとして参考にしていた。そこから先に行くべく、視聴データを取得し、視聴率だけでは見えない実数や地域分布などの可視化を始めた」(松浦さん)

 また、SNSの効果測定にも力を注いでいると続ける。これまでは、番組ごとにバラバラに運用していたXやInstagram、TikTok、YouTubeなどのデータを1つのダッシュボード上にまとめたという。これにより、フォロワー数やエンゲージメント、再生回数などを時系列で比較・分析し、どの投稿がいつ伸びたのか、番組との連動はどう影響したのかなどを見える化。SNSの運用効率を高めるべく取り組んでいる。

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