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中年から脳の老化を遅らせるための8つの要素 脳スキャンとAIで分析 40歳以上2万人近くを対象に米研究者が調査

ITmedia NEWS / 2025年1月6日 10時17分

中年から脳の老化を遅らせるための8つの要素 脳スキャンとAIで分析 40歳以上2万人近くを対象に米研究者が調査

 米メリーランド大学などに所属する研究者らが発表した論文「Adherence to Life’s Essential 8 is associated with delayed white matter aging」は、米国心臓協会が提唱する8つの健康指標「Life’s Essential 8」(LE8)の順守が、脳の白質の加齢にどのような影響を与えるかを調べた研究報告である。

 LE8は、4つの生活習慣と4つの健康指標から構成されている。生活習慣の要素は、健康な食事(野菜、果物、全粒穀物を多く、糖類、加工食品、飽和脂肪の摂取を控える食事)に基づく健康的な食事、定期的な運動(週に150分以上の中強度の有酸素運動など)、禁煙、適切な睡眠時間(7~9時間)である。

 健康指標としては、適正なBMI(18.5~24.9の範囲内)、望ましいコレステロール値(総コレステロール値は200mg/dL未満)、正常な血糖値(空腹時血糖値を100mg/dL未満に、HbA1cを5.7%未満)、適正な血圧(収縮期血圧120mmHg未満、拡張期血圧80mmHg未満)が含まれる。これらの各項目は0~100点で評価され、その平均がLE8スコアとなる。

 イギリスのバイオバンクに登録された40~69歳の約1.9万人(9430人の女性と9387人の男性、平均年齢55.45歳)のデータを分析した。

 研究チームは、磁気共鳴画像法(MRI)で測定した脳の白質の状態から、機械学習を用いて「脳年齢」を予測した。そして実際の年齢との差(脳年齢ギャップ)を計算し、LE8スコアとの関連を分析。白質は脳の各部位をつなぐ神経線維の束で、その状態は認知機能と密接に関連している。

 分析の結果、LE8スコアが高い人ほど、脳年齢ギャップが小さいことが判明した。具体的には、LE8スコアが10ポイント上昇するごとに、非APOE4(アルツハイマー病の主要な遺伝的リスク因子として知られている遺伝子)保有者では脳年齢が124日若く、APOE4保有者では84日若くなることを示した。

 この影響は、LE8を構成する8つの健康指標それぞれについても一貫して観察できた。また、年齢層別の分析では、50~59歳の年齢群において、LE8スコアの上昇に伴う脳年齢ギャップの改善が最も顕著であることが明らかになった。

 APOE4を持たない人では、LE8スコアが高いほど一貫して脳の加齢が遅くなった。一方、APOE4保有者では、その効果が弱まる傾向にあった。特に40代の女性APOE4保有者において、LE8スコアと脳の加齢との間に有意な相互作用を観察できた。

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