「人間は性格を変えられるのか?」→最短4週間で変わる研究結果 2万人以上で調査 17年に発表
ITmedia NEWS / 2025年1月8日 8時5分
「人間は性格を変えられるのか?」→最短4週間で変わる研究結果
米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校やカナダのカールトン大学などに所属する研究者らが2017年に発表した論文「A Systematic Review of Personality Trait Change Through Intervention」は、 パーソナリティー(性格)特性は治療などの介入によってどの程度変化するのかを調べた研究報告である。
研究グループは心理療法や薬物療法などの介入効果を調べた207件の研究を分析。対象となった研究には、2万人以上の参加者が含まれており、平均24週間の介入期間で性格特性がどのように変化するかを追跡している。その結果、介入によって性格特性が平均0.37標準偏差変化することが明らかになった。
特に注目すべき発見は、性格の変化が思われていたよりもずっと早く起こるという点である。従来の研究者たちは、性格は何年もかけてゆっくりと変化すると考えていた。しかし、この研究は適切な介入があれば、わずか4~8週間で有意な変化が生じることを示している。8週間以上の介入では、安定した効果が得られることも分かった。
変化が最も顕著に表れたのは、情緒安定性(日々不安を抱えている人)と外向性(興味や関心が外にあり社交的な人)である。情緒安定性は0.57標準偏差、外向性は0.23標準偏差の改善を示した。この変化の大きさは、人が一生涯で自然に経験する性格変化の約半分に相当する。つまり、数カ月の介入で、通常なら何十年もかかる変化を実現できる可能性があるということだ。
治療の種類による効果の違いも調べられた。認知行動療法、支持的療法、精神力動的療法など、さまざまな治療法の効果を比較したが、驚くべきことに大きな差は見られなかった。これは、性格変化を促す上で特定の治療法が特別優れているわけではないことを示している。
一方、患者の症状による違いは明確だった。不安障害の患者で最も大きな性格変化が見られ、物質使用障害(薬物の継続使用)の患者では変化が比較的小さかった。うつ病や複合的な症状を持つ患者は、その中間程度の変化を示した。
特に重要な発見は、これらの変化が一時的なものではないという点である。治療終了後も追跡調査を行った研究では、性格の変化が1年以上持続することを確認できた。これは、介入による変化が表面的な症状改善ではなく、より深い人格レベルでの本質的な変化である可能性を示唆している。
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