谷口ジローの遺作、2作品刊行 闘病中の手帳に記されていた“たったひとつの小さな望み”とは

ねとらぼ / 2017年12月7日 21時9分

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 2017年2月に死去した漫画家・谷口ジローさんの未発表絶筆が、2冊の単行本として12月8日に小学館から刊行される。

 1点は薄墨と鉛筆とホワイト(修正液)だけで執筆した『いざなうもの』、もう1点は原稿用紙を“横長”に2枚並べる見開きで描いたオールカラー作品『光年の森』。いずれも2015年から闘病生活中に描かれたにもかかわらず、革新的な技法に挑んだ意欲作だ。

 谷口さんはなぜ、病に伏しながらも画期的な漫画表現に挑んだのか。12月7日に小学館本社で発表記者会見が開かれ、谷口さんの漫画に対する熱い姿勢が、編集担当者の口から語られた。

●薄墨の濃淡が織りなす『いざなうもの』

 『いざなうもの』は、小説家・内田百?さんの短編集『冥途』最初の1編「花火」が原作。従来の執筆方法と異なり、薄墨・鉛筆・ホワイトの3つのみを用いて描かれている。

 まずは谷口さんが鉛筆で下描きし、それをアシスタントが原稿用紙にトレースして返し、仕上げのペン入れや薄墨は谷口さんが自宅でほぼ一人で行った。2017年1月上旬までの2年間で断続的に執筆し、全30ページのうち10ページは下描きのまま、この世を去ることとなった。

 単行本には20ページの完成原稿と、最後の10ページを下描きのまま遺族の了解を得た上で掲載。他にも近年の短編『魔法の山』(2006年)や『彼方より』(2014年)、エッセイ、2015年以降の闘病生活中に手帳に描いたイラストなどを収録している。

 後期の谷口作品の特徴にスクリーントーンの多用があるが、最期にトーンを一切使わず薄墨を選んだのはなぜだったのか。谷口作品の著作権管理を務める財団法人・パピエの代表・米澤伸弥さんは、次のように説明した。

 「谷口先生は90年代の終わり頃、漫画誌ではないオフセット印刷の雑誌に1作品、『いざなうもの』と同じようにトーン無しの薄墨とペンだけで描いた短編を寄せたことがあります。その時は、以前から墨のグラデーションを使った表現に興味があり、その媒体で試してみたと話していました。本作で挑んだのも、アシスタント無しで独りで挑戦できる表現であり、新しい技法として興味があったんだと思います」(米澤さん)

 こうした経緯に加え、印刷技術の進歩によって薄い墨の色が紙面で再現できるようになったことが大きかったと、『光年の森』の編集担当・小田基行さんは述べた。

 『いざなうもの』編集担当の今本統人さんは、作品の魅力を次のように話す。

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