松坂桃李の所帯じみっぷり、松岡茉優の所在なさっぷり演技が随一 映画「蜜蜂と遠雷」を漫画でレビュー

ねとらぼ / 2019年10月21日 20時50分

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映画「蜜蜂と遠雷」を漫画でレビュー!

 10月4日に公開された映画「蜜蜂と遠雷」。恩田陸の国際ピアノコンクールを舞台にした青春小説の実写化です。

 “クラシック音楽”と聞いて取っつきにくいイメージを持ったのですが……そんなことはなかった! 若手ピアニストのコンクールという設定で、今をときめく若い俳優たちのフレッシュな演技を見ることができます。魅力的なキャラクターが群像劇の中で描かれていました。

 筆者は原作小説を履修済み(読んでなくても大丈夫です)。映画は、原作小説から友情や恋といった青春要素をあえてバサッと切り落とす構成(筆者は原作に登場する奏ちゃんというキャラが好きだったのですが、彼女の存在はまるっとなくなっていました。でも十分素晴らしかったです)。音楽的な要素にフィーチャーすることで、ピアノへの愛、音楽への愛、「音楽は身の回りにあり生活そのものである」というテーマが余すところなく伝わってきました。

●「生活者」松坂桃李の存在感

 原作よりも存在感が増していたのが、松坂桃李演じる高島明石です。彼の演技がとにかく凄かった! 結婚して子どももいる明石は、働いて家族と暮らす日々の中でピアノを練習する時間を確保しなければなりません。地に足のついた暮らしを送っているからこそできる演奏を「生活者の音楽」と名付け、コンクールに挑んでいます。天才ではない彼は、観客が最も感情移入しやすいキャラクターかもしれません。

 28歳という設定ですが、憔悴して松岡茉優にボヤいてる姿はもはや30代後半にすら見えました。生活……ほんと疲れるよね……わかる……(生活者の実感)。

 コンクールから遠ざかっていた元天才少女・栄伝亜夜を演じるのが松岡茉優です。彼女の所在なげな演技も随一です。「万引き家族」に続き、控えめなのに存在感を放つ演技から目が離せません。迷いを抱えながら過ごす亜夜は、顔は笑っていても、目がどこにも向いてません。そんな彼女の視点のシーンは背景もぼやけた演出になっており、彼女の心情を反映しています。

 つかみどころのない天才少年・風間塵を演じるのは鈴鹿央士です。彼は、広瀬すずがスカウトしたことで話題の新人俳優。本作で演じる役柄も、突然現れた「期待の新星」であり、現実の彼とリンクしていて、ワクワクします。

 亜夜と塵の2人が月夜の下でピアノを弾く場面が非常に美しく、心が通じ合っている様子に心打たれます。このシーンを観るためだけに映画館に行く価値があるほどです。

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