映画「ルックバック」を読み解く3つのポイント 「ひとつまみのファンタジー」がピリリと効いた傑作青春アニメ
ねとらぼ / 2024年7月12日 18時5分
「貴方のキャラクターが好き 良い 映画のタイトルは母親なのに 一番魅力的だったのは優太だった だから今度の映画も他人事じゃなくて 優太の話を見たい」
つまり、『ルックバック』は作者にとっての「自分事」なのだ。自身がマンガ家であるからこそ、創作活動という営みを大いに賛美する。
一方、創作活動につきまとう犠牲も観客へ突きつけてくる。
映画の中盤、プロ作家となった藤野は、知らず知らずのうちに人付き合いや、時間、心の余裕を失っていく。特に象徴的だったのが、原作にはなかった「読者アンケート」の結果のグラフが出てくるシーンだ。商業誌で描くからには数字が全て。精神的に追い詰められた彼女の髪の毛はボサボサだし、ため息と貧乏ゆすりが止まらない。
描かれるものが他人事ではなく、徹底してリアルな自分事。それ故、映画「ルックバック」は見る者を圧倒する迫力があるのだ。
●2:「何にでもファンタジーをひとつまみ入れちゃうんだよね」
先述の『さよなら絵梨』には、藤本作品を読み解くヒントがもうひとつ隠されている。作中、あるキャラはこう言う――「優太はちっちゃい頃から 何にでもファンタジーをひとつまみ入れちゃうんだよね」。
『さよなら絵梨』と『ルックバック』はどちらもリアル路線の作品だ。少なくとも中盤までは。ところが終盤で起きる悲劇的な事件をきっかけにして、リアルにファンタジーが混ざり込んできて、両者の区別が曖昧になる。藤本タツキは、そうやって意図的に読者を混乱させる構成を作品に取り入れているようだ。
『ルックバック』では、藤野と京本の間で時空を超えたメッセージがやりとりされる。キーアイテムになるのは、4コママンガを描くための白い短冊。ネタバレを避けたいので例え話とするが、その4コママンガは、海に流す「ボトルメール」のようなはたらきをする。普通に考えれば絶対届くはずのない2通のメッセージによって、物語は大きく動く。
常識では説明のつかない「ひとつまみのファンタジー」が添えられたからこそ、『ルックバック』は過去のマンガ家マンガの焼き直しにはならなかった。クライマックスで起きた奇跡の謎は謎のまま。それ故、見る者の想像力を最大限にかきたて、ずっと記憶に残り続ける作品となったのだ。
●3:藤野がなりたかったのは、背中で語れる「ヒーロー」なんだ
今回の映画を見ていて、『チェンソーマン』を手掛けた藤本タツキが『ルックバック』を生み出した必然性を感じた。
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