1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

「AI PC」は普及する? 「日本市場だからこそ広がる余地がある」HPの幹部に聞く

ITmedia PC USER / 2024年8月15日 8時5分

 チャン氏はマクロな話題だけでなく、HP自身の日本市場に対する取り組みについても説明している。

チャン氏 私たちは、日本市場に適した製品への投資も継続していきます。直近では1000ドル未満のカテゴリーに属する「HP Pavilion Aeroシリーズ」の新製品をリリースしたばかりですが、こうした日本の顧客に“響く”デバイスへの投資は重要です。 日本市場について、より語れる人物は他にもいるかと思いますが、私が実際に現場を見て気付いたのは、顧客が一貫して“非常にハイスペックな”消費者向けデバイスを買っている点です。その一方で、最新のテクノロジーのサポートと共に下位互換性を含む“全て”を求めていること、具体的にはアナログRGB(D-Sub)出力端子の実装や、ノートPCへの光学ドライブ搭載を求めている点は驚きでした。これは、他の市場では見られない傾向です。例えるなら、高齢者の方が年に1回などのあいさつ状を印刷するために必要な素材やデバイスを求めているのです。 1000ドル以下のPCを求める需要から“全て”を載せたPCを求める需要まで、(日本市場には)非常に洗練されて幅広いニーズがあるといえます。

●メーカー間の競争が「AI PC」をより身近に

 対応アプリやサービスの増加によって、今後もAI PCに対する需要は増加する――少なくともメーカーの視点では「AI推しの施策は思ったほど受け入れられないのでは?」という懸念を抱いていないことは分かった。

 チャン氏は「PCは人間にとって最高の生産性と創造ツールの1つであり、その体験はAIによってさらに向上する。私の記憶では、過去10~20年ほどの間にISV(独立ソフトウェアベンダー)がこれほど盛り上がっている様子は見たことがない」と語る。AIが盛り上がりを見せるタイミングで積極的にハードウェアとソフトウェアまで幅広い分野に投資を行うことで、AIトレンドを一層盛り上げていこうという意思が感じられる。

 もう1つ、筆者が抱いていた懸念がある。現状で「AI PC」をうたうためにはCPU/SoCの選択肢が限定的であり、各社が性能面でPCの差別化を行いにくくなっているという点だ。Copilot+ PCの要件を満たすとなると、選択肢はさらに絞られてしまう。

 しかし、チャン氏はこのような見方に否定的だ。

 例えばSnapdragon X Eliteを採用したノートPCの場合、他メーカーでは16時間程度のバッテリー駆動時間しか提供していないのに対し、HPでは26時間以上の駆動時間を確保しています。このように、ハードウェアだけでも多くのことをエンジニアリングで差別化できると思います。 加えて、私たちは「AIコンパニオン」のようなものにも投資を行っていきます。当社が開発するソフトウェアレイヤーは、顧客にとって価値とメリットを多く含みます。差別化ありきの機能追加ではなく、顧客が実際に見て感じて体験できる価値を実際に組み込むことで、私たちのビジネスチャンスにもなると考えています。

 同じPCでも、エンジニアリングや各分野における投資の差異が大きな差別化ポイントとなるという。

 CPU/SoCの選択肢という観点では、Snapdragon X Elite/Plusに加えて、OmniBook Ultra 14が採用したRyzen AI 300シリーズが登場した。そして9月にはIntelが「Lunar Lake」(開発コード名)が発表される見通しで、同じタイミングで各社からも搭載PCが続々と発表されることになるだろう。Snapdragon Xシリーズについては、10月にも新製品の発表を控えているとされる。AI PCで利用できるチップは、水平展開が拡大している。

 この流れに乗る形で、今後はAIソフトウェアの開発もさらに活発になると見られる。この新しい技術によって、PC市場はしばらく盛り上がることになりそうだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください