1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

NHK軍艦島映像「でたらめ」、不条理訴えた元島民会見 韓国メディアもNHK記者も不在

iza(イザ!) / 2025年1月10日 15時19分

長崎市の端島の元島民らがNHK番組「緑なき島」の問題を巡って開いた記者会見=9日午後、東京都千代田区(奥原慎平撮影)

NHKが長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)を巡る番組「緑なき島」について端島炭坑内の映像であるという確認が得られないと昨年12月に東京簡裁の調停で認めたことを受け、元島民が今月9日に都内で開いた記者会見。映像は韓国メディアなどによって朝鮮人戦時労働者が非人道的な待遇を受けた証拠として悪用されている。不条理を訴える機会だったが会見に韓国メディアやNHKの記者の姿はなかった。

声を詰まらせて訴え

「この映画はNHKの映像が歴史的事実として参考にされた。世界中にありもしない軍艦島の負のイメージがばらまかれた」

会見の冒頭、「緑なき島」が韓国メディアなどに利用された事例を盛り込んだ特集動画が流された。朝鮮人徴用工を軍艦島の坑道に閉じ込めて爆破させようとしたという2017年公開の映画『軍艦島』(監督・柳昇完)も「緑なき島」の影響を受けていると、ナレーションでこう紹介された。

端島炭坑を運営した三菱石炭鉱業高島鉱業所の田中実夫元副所長(90)は「緑なき島の坑内映像は長年、韓国ででたらめな認識を作り上げるのに利用された」と指摘する。軍艦島で戦時労働したという朝鮮半島出身者は「ガスが出て苦しかった」「うつぶせで掘るしかない」「背中に石炭を担いだ」などと証言しているといい、田中さんは自身の経験や史料から反論していった。

田中さんは「マスコミ関係の皆さまには元島民の目的に対して力強い力添えをいただきたい」とも訴えた。

昭和30年代の端島炭坑内の様子を知る元島民も少なくなったという。

会見には昨年11月に死去した会長の加地英夫さん(享年92)の遺影も掲げられた。元島民の中村陽一さん(86)は声を詰まらせながら、不当に故郷がおとしめられた元島民らの悔しさを訴えた。

高度成長牽引した端島のプライドで追及

今回NHKは調停で元島民に対し、坑道内で裸電球を使っている映像などについて「端島炭坑内で撮影されたものであるという確認が得られていない」と認めた。遠まわしな表現だが、元島民側は「事実上、端島炭坑の映像ではなかったことが認められた」(元島民側の弁護士)と受け止める。ただ、満足のいく内容ではない。

元島民はNHK側に謝罪を求めていたが、NHKは頑として応じなかったという。同席した弁護士は「元島民らは道義上の謝罪すらNHKが拒んだことについて理解に苦しんでいる」と代弁した。

元島民がNHKに対して最初に抗議した令和2年11月から4年が過ぎた。加地さんをはじめ、他界した元島民は少なくない。

元島民らを支援し続けた一般財団法人「産業遺産国民会議」の加藤康子専務理事はNHKに対し、「なぜ謝罪しないのか。民間企業が不正を働いたらメディアはたたくだろう。真実でないことを拡散したことは誠意をもって元島民や国民に向き合ってほしい」と訴えた。

調停の結果については「完璧に満足いく形ではないが、前進できた。大きな成果だ」と強調。追及を断念しなかった元島民らの姿勢について、「日本にエネルギーが足りないといわれる中、高度経済成長を引っ張った端島の人たちのプライドと絶え間ない情熱が噴き出ている。日本国民にエネルギーを与える活動だった。皆さんの証言、記憶を大切にして、次の時代に継承していく」と語った。(奥原慎平)


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください