【朝ドラ「虎に翼」ひとり受け】宇垣美里の「今週のはて?」第3回 梅子のすごみに鳥肌!
iza(イザ!) / 2024年6月30日 10時0分
家とは、家族とは、何だろう。涼子さま(※1)の涙、海を見つめる梅子(※2)の眼差し、そして民法改正審議会。朝ドラを見始めたこの数カ月間、何度となく頭に去来したこの言葉を改めて噛み締めるような13週目だった。
特例判事補と家庭局事務官の仕事に加え、家庭裁判所の存在を知ってもらうための「愛のコンサート」開催の担当にもなり、大忙しの寅子(※3)。そんななか、遺産相続の案件で家裁を女子部時代の友人、梅子が訪れる。梅子の弁護士には轟(※4)とよね(※5)がつくことになるが、どうも一筋縄ではいかないようで…。
寅子と再会を喜び合う姿や、よねにかけた「マスター残念だったわね」という言葉、それを受けた子どものような表情のよねや轟の涙で改めて、あの学生時代の教室で梅子の存在こそが緩衝材であり、みんなの拠り所だったんだなあとしみじみ感じた。
いつの日か親権をとり、子どもたちをまっすぐに育てたくて法律を学んでいた梅子だったのに、長男も次男も、この子だけは、という気持ちで育てた三男すら、よねの言葉を借りるなら“どいつもこいつもクソ”だった。己の失敗をみつめ、全てを諦めた上での高笑いからのごきげんよう!狂気とふっきれた清々しさ、知性からくるユーモア。そのあまりのすごみに鳥肌がたった。ざまーみろ!ずっと昔から、嫁になっても母になっても、梅子は梅子だったんだ。そんな凛とした梅子を見つめるよねのうれしそうなことといったら。
“家”に縛られてきた梅子が、古き良き美徳、なんてものを守るために押し切られてできた民法730条を利用して決着をつけた。何十年も尽くしてきた梅子に何の財産も入らないなんて本当に悔しくて許せないけれど、家制度の亡霊を使って家制度から解き放たれるなんて、なんたるカタルシス!梅子さん、その人の心に寄り添う優しさと、勤勉さ、心の強さ。「法律は本当に使い方次第だわね」と笑えるあなたは、絶対に弁護士になるべき人だと思う。
晴れやかな表情で再開した「竹もと」で甘味を味わう梅子の姿に、私は大好きなリナ・サワヤマの「Chosen family」という曲を思い出していた。彼女を苦しめてきた呪いは今もなお誰かを地獄に縛り付けている。血のつながりは選べない。でも、私たちは家族を選ぶことができる。梅子は己を母親の型に押し込める家族と決別し、よねと轟と共に生きることを選んだのだ。
梅子の握ったおにぎりを食べる轟とよね、そして届けられたそのおにぎりから多くを感じとって涙を流しながら口にするヒャンスク(※6)。花江(※7)は夢で最愛の直道(※8)に会い、その背景に流れるのは優三(※9)を想いながら歌う寅子の「モン・パパ」。全てがさみしくて、愛おしくて、悲しくてあったかくて美しくて。胸がぎゅっとなってたまらなかった。
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