[細川珠生]【年間20万人の移民受け入れに待った】~日本社会の課題をまず見つめよ~
Japan In-depth / 2015年3月5日 23時0分
従来から議論されている外国人雇用政策であるが、人口減が進む中、国民の関心が高まっている。自民党の外国人労働者等特別委員会で事務局を務めている衆議院議員の笹川博義氏を迎え、この問題について聞いた。笹川氏の選挙区である群馬県大泉町は日系2世や3世が多い。これはバブル期に労働者が不足し、ブラジルの日系人に第二の故郷に帰るような形で日本に来てもらったという背景がある。日系人である彼らは日本の文化・社会に理解があり、次第に定着して大泉町の中で大事なウェイトを占めていくようになった。今では人口4万人のうち15%がこうした移民だという。
笹川氏は、外国人との共生が難しい点について、「文化が違うところがあるので、行政の情報等をどうやって得ることができるか」だと語った。特にヨーロッパ諸国などに比べ、言語の問題は大きい。「日本にはルールがある。行政からのお願い事項や法律もある。それをどうやって理解してもらうか。言語のハードルをどうやって乗り越えていくか」と笹川氏は述べ、多言語による行政サービスの必要性を強調した。
また、彼らが定着して家庭を作れば、当然、医療や教育の問題が身近になる。外国人の子供たちが、地元の子供たちの中に入っていくためには言語の問題もある。バイリンガルの教師を採用するなどの対策を取る必要があるが、「受け入れを(急激に)増やしていこうとすると国内での整備が追いつかない」と細川氏は指摘した。政府は毎年20万人の移民の受け入れという目標を掲げたが、これを急激に進めることに対し、笹川氏は懐疑的な立場を示し、「移民の問題は、“緩やかに”日本に来て家族を得るという形の中で進んでいくこともある」と述べ、急速な移民受け入れには慎重な姿勢を示した。
ASEAN諸国では経済成長率が高く、日本を訪れる人が増えてきている。「技能実習制度を利用して日本で頑張っている人たちが、一般永住者になる可能性もある」と笹川氏。まずは人手不足が深刻化している介護から少しずつ増やしていくなど、「本当に必要とされる現場に必要とされる人数を」と細川氏は述べ、笹川氏も同意した。
介護の現場では法律改正が行われる。EPAで東南アジアからの人員が増え、また、介護の専門学校にも外国人を呼ぶなどの施策が今後考えられる。笹川氏は「ハードルを下げて頑張ってもらう」と述べる一方で、日本語での試験がハードルの高さの一因とされていることについては、「もし意思の疎通ができないとなると介護の中で事故が起きる可能性があるので、ある一定の必要性はある」と語学力の一定の必要性を強調した。
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