[七尾藍佳]【「戦後レジームからの脱却」とは何か】~戦後左派の「敗戦へのルサンチマン」を吸収し改憲へ進む安倍政権~
Japan In-depth / 2015年3月7日 18時0分
また、左派陣営が「護憲」の傾向を強めていったのも、アメリカの意向のままに自衛隊が創設され、安保体制が整備されて行くことに抵抗する理論的な「盾」として「戦力を保持しない」と規定する憲法九条を「利用した」ことが背景にあります。「護憲」には「反米」のための「護憲」という戦略的側面があったのです。
このような歴史的経緯を見ていくと、日本に「憲法の政治」=We the peopleによる政治を見出そうとするならば、「護憲」を盾に自主独立を模索した左派運動にもっとも近いものがあるように思われます。その推進力は「敗戦」というトラウマでした。つまり戦後知識人や左派陣営が目指したのも、実は「戦後レジームからの脱却」だったのです。意外なことに、彼らと安倍総理の間には「日本の自主独立」という大きな共通点が見出せるのです。
冷戦下、日本の庇護者であるアメリカという絶対的な存在を前に「戦後レジーム」の担い手としての自民党はこれまで、本音を声高に言うことができませんでした。その呪縛から解放されたのが安倍晋三という政治家です。そこで露わになったのは「戦後レジーム」下で左派が担ってきた「敗戦へのルサンチマン」を日本の保守が吸収した、という現象です。
だからこそ安倍総理の中では「日米同盟基軸」と「自主憲法制定」というこれまでは二律背反すると見なされた事柄が共存し得るのです。その安倍総理のもとで憲法改正に向けた下準備が着々と進められる今、日本の有権者は、一体何を何のために改正する必要があるのか、改正推進の背景にあるものは何かをしっかりと見定める必要があります。その第一歩は、<憲法>と<戦後日本>の歴史をあらためて振り返ることにあると思います。
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
安倍晋三に負け戦を挑んだ石破茂の復活劇
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月17日 14時35分
-
民主党・野田総理との党首討論。側近たちが記した「首相の心得」
文春オンライン / 2024年10月17日 6時0分
-
石破茂、子どもに語った"らしさ全開"の5つの本音 総理就任早々から「ブレ」も指摘されているが
東洋経済オンライン / 2024年10月11日 17時0分
-
〈総裁の顔を変えればいいのか?〉いまや”所属の約半数が世襲議員”の自民党が日本経済に与えた「7つの負の連鎖」
集英社オンライン / 2024年9月21日 9時0分
-
だから自民党総裁はこの人しかいない…「女性宮家」設立で天皇不在という緊急事態に対処できる唯一の人
プレジデントオンライン / 2024年9月20日 8時15分
ランキング
-
1パチンコ・パチスロ「大規模な規則改正」で業界に激震。低迷が続くパチンコの復活はあるのか
日刊SPA! / 2024年10月19日 8時25分
-
2連続強盗、横浜の強盗殺人事件で22歳の男を逮捕 神奈川県警
産経ニュース / 2024年10月19日 23時1分
-
3首都高湾岸線・多摩川トンネルで車7台絡む事故、男性1人が死亡
日テレNEWS NNN / 2024年10月19日 21時55分
-
4「闇バイト、嫌になった」 強盗致傷容疑の男、千葉
共同通信 / 2024年10月19日 18時3分
-
5東京女子医大の全理事・幹事11人が寄付金問題で引責辞任、新学長に国際医療福祉大の山中寿教授
読売新聞 / 2024年10月19日 18時1分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください