[Ulala]【家庭環境による知識格差が出ない教育を】〜川崎市中1殺害事件〜
Japan In-depth / 2015年3月8日 7時0分
川崎の中1男子殺人事件がこれほど多くの人に衝撃を与えるのは、この事件が、現在日本で問題になっている色々なことが複雑に絡み合っていることも理由の一つだろう。
近年の日本では離婚も増え、母子家庭が増加傾向にあるが、その立場は想像以上に厳しい。男女間の仕事内容や賃金差もあり、女性の得られる給料が同じ時間働いた場合の男性より少ないこともその原因のひとつだ。
低所得なため普通に働いても十分な収入が得られず、パートの掛け持ちなどをすることになり長時間働くことになる。その結果、家に居る時間が少なくなり、子供が問題行動を起こしたりSOSを発しても対応する時間も体力もなく、余裕すら持てない家庭もある。それがまさしく上村君のケースだったのではないかと考えられる。
また移民を増やすことが検討されている日本だが、親が外国人であった場合、子供が日本語に問題がなかったとしても学業的な成功が難しく、学校に居所さえ見つけられないケースがある事を知っているだろうか?フランスなど移民が多い国ではこういった問題が大きく表面化してきているが、まだまだ移民が少ない日本ではあまり理解されてないのではないかと思う。
外国人が親で日本語がうまく話せない場合、いろいろな情報が手に入りにくいのが実情だ。親自体が日本に精通してなければ、通常なら家庭内で自然に学ぶであろう日本の慣習や常識などを知ることができず、そのため子供が成長していくにつれ細かいところで他の子供との差異を感じ、苦悩する場合もある。
がしかし、それだけではない。外国人に日本語を教えているボランティアの方に話を聞いたところによると、日本語も問題だが、それよりも親が受けた教育程度が一番関係してくると言う。日本に働くことを目的に来ている外国人の中には、日本同等のレベルの教育を受けてない場合もあり、特に教育に対して適切な指導ができないケースが多いそうだ。
それらの要素が加害者の少年のケースにあてはまるかどうかは断言できないが、彼の発言を聞いてる限り、社会から何らかの疎外感を味わっていたことが感じ取れるのだ。
子供を育てる、ということは「子供に正しい道を示して、見守り、アドバイスし続けること」だ。しかし、親が教育のことを理解しておらず道を示せなかったり、時間が取れず子供に接する時間が十分に取れなければ、今までの日本社会の中で「普通ならこうする」と思われている結果を出すことは難しい。そのため、普通だとされている事と現実に起こっている事との間にズレが生じる。
それでも今までの日本は、先生や教師が親身に面倒を見てくれ、生活指導まで仕事としていたため、家庭に問題がある子供達にも大きな助けになって来た。だが、他の国に比べても作業量が多い日本の教師に対して、モンスターペアレンツを始め教師への欲求が増大しており、現在では時間も人手も足りず学校だけでは十分なケアをすることが難しくなりつつある。
今後、外国人が日本に増え、離婚により核家族すらも崩れ、地域社会にも無関心が増えて行く中、社会のほんの一部と思われていた世界も拡大し、このような事件も増えるかもしれない。
そこで必要になってくるのは、生活や進路指導を教師に限らず教えることのできる機関をもっと増やすことだろう。親や家庭環境に依存しないで、社会のルールや教育システムや指針など同じ地で共存していくための共通の理念を学べる場所が必要なのだ。
弱者を作らない政策も必要だが、少子化が懸念される今だこそ、子供が家庭環境による知識の格差がでない教育をもっと考えて行くことが、今後の重要課題になっていくだろう。
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