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[安岡美佳]【ITサービスで必要な“心地よさ”】~デンマークの「人を幸せにする仕組み」2~

Japan In-depth / 2015年3月10日 11時30分

[安岡美佳]【ITサービスで必要な“心地よさ”】~デンマークの「人を幸せにする仕組み」2~

(この記事は[安岡美佳]【駐車場で“ポカ”を無くす工夫】~デンマークの「人を幸せにする仕組み」1~の続きです)

ホテルによくついている貴重品入れのロッカー。貴重品を入れて鍵をかけ、暗証番号を忘れてしまった経験がないだろうか。コペンハーゲンに移り住んだ当初行っていたスポーツジムのロッカーは、そういう仕組みだった。

私はジムに行く時には、集中した頭脳労働(論文書きなどデスクワーク)で頭が朦朧とした時、気分転換で行くことが多いので、日常のプロセス(ロッカーに靴を入れたり、スポーツウェアに着替えたり)は無意識で行っていることが多い。

すると、当然のこと(?)だけれど、扉を閉めた後に、登録した暗証番号を全く覚えていないということがよくある。皆が私のようにいつも不注意とは思わないけれど、無意識でやっていてものを置いた場所が分からなくなったり、登録した暗証を覚えていなかったり、似たような経験はないだろうか?

最近よく使うスポーツジムでは、メンバーカードが鍵になっている。ロッカーの番号を覚えている必要があるが、少なくとも私に取って、位置で覚える方が番号で覚えるより遥かに簡単だ。

このジムでは、メンバーカードをかざすだけで施錠・解錠されるから、恥ずかしい思いは最低限で済む。仮に使ったロッカー番号を忘れても、ある程度あたりをつけて、カードをかざすことで解錠することができる。

この例は、「人は忘れやすい」ということを前提にシステムが作られている一例だ。ほんのちょっとした工夫なのだが日常生活の小さなストレスをなくしてくれる。いやもともとは、“ストレスをなくす”などといった意図はなかったのかもしれない。でも、毎日の生活を楽にしてくれているなぁと、久しぶりにいつもと違う駐車場を使って、高額の罰金を取られて気付かされたのだ。(その1参照)

デンマークは、特にICT分野、例えば電子政府や電子カルテなどの分野で、こんなちょっとした工夫として表層にでてくる「心地いいシステム」や「使い勝手」が深く研究されている。

だからこそ、社会でのICT活用などのグローバル指標で上位に名を連ねてきた。もちろん、このような(IT)システムがうまく使われ、人を幸せにする基本条件として、カードや(IT)システムの安全性が保障されていること、人がシステムを信頼していることが重要になる。

デンマークでは、(IT)システムや政府の信頼度が高いことが、政府系ITシステムが受容されている一因だろう。他の北欧諸国も基本同様で、クレジットカードがチケット代わりになるオスロのエアポートエクスプレス(空港から市内まで40分で結ぶ)Flytoget[1]は、入場ゲートでクレジットカードを読み取らせ、出場時に再度カードをスワイプさせるだけだ。チケットを買うのに英語(ノルウェー語)で「チケット下さい…」とドキドキしながら話す必要もないし、なによりもチケット売り場に並ぶ必要がないので、忙しい空港移動の際に時間の節約になる。

とはいえ、全てがうまく行っているわけでもない。そんな話も、機会があればしてみたい。



(シリーズ全2回)

[1] http://www.flytoget.no/

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