[山田厚俊]【安保法制に前のめりの安倍首相、党内危機感】~統一地方選前に自民大揺れ~
Japan In-depth / 2015年3月10日 19時0分
「自民党は平和な暮らしを守る大きな責任があり、切れ目のない安全保障を進める。戦争に巻き込まれるとか徴兵制が始まるとの無責任は批判にはたじろがず、やるべきことはき然とやり遂げてきた。これからも積極的平和主義の旗を掲げ、日本の領土、領空、領海は断固として守り抜く」
3月8日、都内のホテルで行われた自民党大会で、安倍晋三首相(自民党総裁)はこう力強く語った。想像していたとおり、やはり安保法制の整備こそが安倍内閣の肝だという姿勢を見せた瞬間だったといえよう。
「野党がだらしないからもっている内閣で、本来なら予算を通してジ・エンド、もう総辞職の“死に体内閣”だよ。それでもまだ安保法制に鼻息荒いのには驚くね。しかし、野党とともに与党もガタガタ。ポスト安倍もいないからどうしようもない」
会場に居合わせた自民党関係者がため息混じりに語る。それもそのはず、多くの閣僚が「政治とカネ」を巡る問題でミソをつけた。とりわけ、下村博文文科相の問題は、反社会的勢力が絡んでいたこともあり、今後も尾を引く可能性は否めない。
加えて、中川郁子農水政務官の“路チュー”問題は、統一地方選まえの各地方にダメージを与えたとの見方が大きい。路チューにとどまらず、政務官室にお相手の門博文衆院議員が約20回“通っていた”との情報もある。政務官続投が報じられるなか、果たしてこのまま不問に付すとは考えにくい。
要は、4月の統一地方選にどれだけ地方議員の勢力維持、拡大ができるかどうかにかかっている。だが、以前も報じたように、各県連のドタバタぶりは各地で伝わってくる。地元の県連の勢いが落ちているところに、中央の国会議員のダメダメぶりが覆い被さっているのだ。
「こういうときこそ、じっくりと経済の立て直しに専念してくれればいいのに」
ある県連幹部が漏らしたホンネは、今なお安保法制に前のめりの安倍首相に対する恨み節にしか聞こえない。
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