[宮家邦彦] 【議論矮小化する日本のマスコミ】~戦後70周年首相談話、「特定の語句」有無に拘るな~
Japan In-depth / 2015年3月17日 7時2分
今年は戦後70周年、予想通り、近隣国だけでなく欧米諸国からも関連発言が相次いでいる。それ自体に驚きはない。驚くのは、中韓よりも誰よりも、70周年首相談話に「特定の語句」が入るか、入らないか、入らない場合の外交的悪影響如何、などと議論の流れを設定しようとしているのが日本のマスコミであることだ。
国民が議論すべきは過去だけでなく、戦後70年間の日本の生き様と我々の将来である。語句の有無の問題から入ると、議論は著しく狭まってしまう。誤解を恐れずに申し上げるが、日本が歴史に真に向き合うことと、特定の語句を入れること、入れないこととは別の問題だ。語句の問題は、重要だからこそ、最後に議論すればよいだろう。
先週日本の元首相がクリミア半島を訪問し、「民主的な住民投票を通じて、どう領土問題が解決されたか納得できた」、「市民が幸せに暮らしている様子を見ることができた。西側メディアは偏っている」などと述べたそうな。欧米で大きく報じられなかったのは不幸中の幸いだ。ああ情けない、の一言しかない。
〇中東・アフリカ
やはり今週の焦点は17日のイスラエル総選挙だ。ネタニヤフが勝つか否かは間接的に核疑惑をめぐる対イラン交渉にも微妙な影響を与える。今回は野党労働党・中道ハトヌアの統一会派が勢いを増しているという。焦点は、対イラン政策で強硬姿勢を貫くネタニヤフが、経済と生活を優先する国民の信任を得られるか否かだろう。
〇欧州・ロシア
プーチン大統領が11日ぶりで公の場に姿を現したという。内外の報道では「風邪で静養した」、「腰痛に苦しみ、外国の医師をモスクワに呼んだ」、「治安機関によるクーデター」、「愛人の出産による極秘休暇」、「脳出血などの重病」など様々な噂が飛び交ったそうだ。イラクのサッダームもそうだったが、やはり独裁者は注目度が違う。
〇アメリカ両大陸
ブラジルで大統領の経済政策と国営石油会社の大規模汚職疑惑に対する抗議デモが首都ブラジリアやサンパウロなど各地で行われ、参加者は200万人を超えたという。今年1月に二期目に入った大統領の支持率は2月で23%、就任以来最低らしい。数年前ブラジルをBRICSの雄などと持て囃したエコノミストは今どこへ行ったのか。
〇東アジア・大洋州
16日に日中韓局長協議が、21-22日に三国外相会談がそれぞれソウルで開かれ、19日には次官級の日中安保対話が東京で開かれるという。様々なレベルで協議が行われることは喜ばしい。これが三国首脳会談に繋がるなら大歓迎だが、果たしてうまくいくだろうか。
18日にはミシェル米大統領夫人が女性の教育問題をテーマに訪日する。以前同夫人が二人の娘を連れて訪中し大歓迎を受けたこと思い出した。ちなみに、ミシェル夫人は21-22日にカンボジアも訪問するそうだ。
〇インド亜大陸
今週のインドはIMF専務理事が訪印するぐらいで比較的静かだ。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、キヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
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