[文谷数重]【新掃海艇“はつしま"は世界水準】 ~新型機関砲搭載、外交的武器に〜
Japan In-depth / 2015年3月19日 19時0分
港湾防備にも使える新掃海艇 3月19日午前11時05分、掃海艇「はつしま」(艇長:鈴木厚志)が就役した。機雷対処だけではなく不審船等への対応も重視し、掃海艇として初めて高性能の機関砲を搭載した特徴をもつ新型艇である。
同艇は「えのしま」型の3番艇にあたる。同型は全長63m、重量(排水量)570t、最高速力14kt(26km/h)で、従来、木造であった船体について、特に整備費用での問題から、プラスチック化している。本来任務の機雷対処能力も、世界一の英仏海軍に比肩する機能、能力を持っている。
同艇の特徴は新型機関砲である。これは、海自の警備戦力不足を補うため装備された。冷戦終結以降、予算の制約や艦艇の高価格化によって、海自は艦艇数を減らしている。このため、従来は小型護衛艦や哨戒艇等で行っていた港湾防備や警備について戦力不足が目立つようになった。
それを掃海艇でも対応できるように、新型機関砲装備に改めたものである。従来、掃海艇機関砲は浮遊機雷処分用であり人力操作であった。船外に出た操作員が機関砲の向きを変え、肉眼で照準するものであり、高速目標を正確に狙撃できる装備ではなかった。
この点で新型機関砲は、電子光学・レーダーを用い、コンピューターで正確に照準するタイプに更新された。おそらくは、1500m程度までの高速目標について、エンジンや船首を正確に狙い、1発目から狙点1m以内に命中するだろう。もちろん「はつしま」は、機雷対処でも優秀である。主流の機雷掃討だけではなく、従来の掃海も可能であり、各国で流行しているサイド・スキャン・ソーナー(SSS)運用も可能である。
SSSは高精度であり、海底に沈んだ自転車のスポークを見分けられる性能があり、小型無人船で掃海艇前方を曳航し、先行捜索させる使い方もできる。自動化も進んでいる。海底発見物については、機雷かどうかの判断の上、海中リモコンやダイバーで爆破あるいは回収するが、そのプロセスも高度に自動化している。
海自掃海艇は、性能でも、操作する隊員でも、英仏といった機雷先進国に劣らない世界水準にある。「はつしま」は日本の防衛だけではなく、外交的な武器としても活用できる最新艇である。
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