[文谷数重]【行き場のない沖縄の米海兵隊】~米国に帰しても安全保障上問題無し~
Japan In-depth / 2015年3月25日 18時0分
普天間・辺野古の海兵隊問題はどう解決すればよいか?一言で言えば、米国に返すしかない。海兵隊は、沖縄に置き続けることはできず、どこにも移動する先はない。
■ 嫌われる海兵隊
海兵隊は、基本的に嫌われ者である。米軍組織の中でも、海兵隊は孤立している。予算的に一緒の海軍からも組織的に嫌われている。陸空軍や沿岸警備隊との関係は更に悪い。
嘉手納集約案が拒絶された理由も、空軍が海兵隊を嫌ったことが真相といった話もある。滑走路能力や地積の問題では理由付けで、実態は空軍が海兵隊は嫌だといったものだ。
東アジアでも嫌われている。日本、韓国、台湾のいずれにも居所はない。日本国内では米軍受け入れを表明する自治体そのものがない。それが大人数であり評判の悪い海兵隊であれば尚更である。
韓国でも、米地上軍の平時増強には抵抗が大きい。米陸軍であるが少女2人を轢死させてから、平時の地上戦力の受け入れは難しい。台湾も、米中関係や新中国と台北の両岸関係から不可能である。海兵隊は台湾有事用と理屈付けられているが、その台湾も中立化しつつある。結局は、居場所がないのである。
■ 駐留国への配慮がない
そうなった理由も、海兵隊そのもののあり方にある。在沖海兵隊に限って言っても、沖縄や日本をショバと勘違いしている。まず、日本世論への配慮も足りない。在沖米海兵隊の報道部次長が、辺野古反対運動について「ばかばかしい」と公言し、ひき逃げ事件についても「被害者のバイクが海兵隊少佐の車にぶつかってきた」と余計なことを言っている。
オスプレイ配備も配慮を欠いた。オスプレイそのものは悪い飛行機ではない。だが、地元自治体の反対の中で配備を強行し、その面子を潰した。この状況で市街地に墜落すれば、反発は「パパママバイバイ」(注1)なみになる。
■ 米国に帰っても問題はない
この状況では、海兵隊は米国に帰すしかない。別段、海兵隊が下がっても日本の安全保障に影響はない。対中戦では、米海兵隊には投入先がない。南沙中沙の離島に嫌がらせで攻略、襲撃する程度のものだ。
抑止力云々の話にしても、自衛隊や米海空軍の増派で済む。騒音問題云々であれば艦艇増強でもよい。海自も米海軍も使い道のないミサイル艇や失敗作LCS(注2)がある。見せる上では新鋭艦なので、海兵隊以上に抑止力となるだろう。
(注1)「パパママバイバイ」
1977年9月27日、厚木基地を飛び立った米軍機が神奈川県緑区荏田町(当時)に墜落、母親と幼子2人がなくなった事件で、子供の一人が最後に発した言葉として語り継がれている。
(注2)LCS (Littoral Combat Ship)
太平洋海域に配属された米海軍の沿海域戦闘艦。
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