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[相川梨絵]【雨水でしのぎ、食糧はコメだけ】~台風直撃のバヌアツ事情1~

Japan In-depth / 2015年4月1日 18時0分

[相川梨絵]【雨水でしのぎ、食糧はコメだけ】~台風直撃のバヌアツ事情1~

3月13日、14日、バヌアツを巨大サイクロンPAMが襲いました。風速90kⅿ/時、大きさを表すレベルは最大の5で、その威力により、バヌアツの南部は壊滅状態になりました。そして、バヌアツ全土に非常事態宣言が出される大惨事となったのです。私はたまたま日本にいて難を逃れたのですが、バヌアツ人のほとんどが家を失ったと聞いて愕然としました。

それから2週間、バヌアツへ戻りました。久しぶりの我が家にうれしさ半分、状況がわからない怖さ半分。空港から家のある首都ポートビラまでの道は、既に片付けがされていて車で普通に走れます。しかし、脇を見ると暴風で倒れた木々が山のように連なっていました。

サイクロン襲来後、どこもかしこもぐちゃぐちゃだったことが容易に想像できます。ポートヴィラの建物は被害が少なく感じました。それでも、丸ごと一軒吹き飛んでしまったバーや、屋根がガッツリえぐり取られた大型ホームセンター、ポートヴィラ湾で沈水する数々のヨット、通常では考えられない光景があちこちに残っています。

中でも、一番変わったのは、緑です。いかにバヌアツは木々が生い茂っていたか。大木が根ごと倒され、枯れ木のごとく横たわっています。多くの木がタメージを受け、緑の大地は茶色に変わりました。木々がなくなり、見通しもよくなりましたが、殺風景です。花も鳥も見なくなりました。ペットのイグアナのエサのハイビスカスもなくなったので、自然に返すことにしました。なんとか生き延びてほしいです。



市民の台所、マーケットも閉まっています。畑がすべて壊されたからです。バヌアツ人のほとんどは自給自足の生活。自分たちで野菜を作り食べています。しかし、それが壊滅状態。食べ物がありません。水も一部水道が通っている場所もありますが、多くが雨水を生活用水として使っています。このタンクも壊されてしまい、水もない状況。



サイクロンの直接被害より、それによる2次的被害が大きな問題なのです。既に諸外国から多くの支援が入っていました。特に食糧はかなりの数の支援が入っているようでした。すでに各村、島に配り始めていましたが、その内容は、コメ、コンビーフ、魚の缶詰など。多くの人がコメしか食べていない状況です。

今日も、明日も食糧はお米だけ。スーパーマーケットは既に再開され、高いお金を出せば、輸入野菜は手に入ります。しかし、バヌアツ人にそんなお金はありません。観光客も減り、仕事もなくなり、さらにその状況は厳しくなっています。

しかし、彼らはたくましい。失った家を自分たちでガラクタを集めて、なんとか雨風をしのげる形にしたり、わずかに残っている食糧を皆で分け合ったりしています。その様子は、悲しみや苦痛ではなく、サイクロンの前と変わらない陽気な笑顔でした。バヌアツ人ってすごい。



確かに疲れているなとは感じるものの、彼らは、以前と変わらず笑顔で「俺の家にマンゴーの木が落ちてきてつぶれちゃったんだよ」と語り、わずかに残っている木の実を私にまでくれようとします。家も家財道具もすべてを失って、なかなか笑うことってできないですよね。現地語でタフですごいことをタフトゥマスと言ってほめるのですが、彼らにまさに送りたい言葉。バヌアツ人よ。YUFALA TAFUTUMAS!!

次回は、農業の分野での復興をテーマにお伝えします。

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