[七尾藍佳]【どうなる、自衛隊の「普通の軍隊化」】~今国会会期内成立目指す安倍政権~
Japan In-depth / 2015年4月2日 11時30分
新しい恒久法では自衛隊を派遣する際に国会の事前承認が「基本」とされます。改正される周辺事態法では事前承認は「義務」ですが、国際貢献の恒久法では「基本」とされ、自衛隊派遣への国会という「歯止め」がより一層「緩く」なります。公明党は、恒久法に関しても国会承認を「義務」とすることを最後まで求めていましたが、結局、緊急時には事前承認というプロセスをすっとばして自衛隊を派遣できる「余地」を残したい自民党に押し切られた格好です。
<「後方支援」は攻撃されている側から見れば立派な戦闘行為になる>
以上の3点を具体的に考えてみましょう。当初は「後方支援」だからということで新3要件(武力行使を必要最小限に留めるように定められた要件です)を外し、米国ないし複数国によるオペレーションに自衛隊を派遣します。しかし、対峙する敵が自衛隊の目の前で米軍を、あるいは自衛隊自体を攻撃してきた場合、日本はどうすればいいのでしょうか。
安倍政権は「後方支援」であれば安全であるかのように言っていますが、実際の戦闘においてアメリカに攻撃されている国・武装勢力から見れば、米軍に物資を補給する日本は、明らかに戦闘に参加する敵対勢力と見なされ、攻撃対象となるでしょう。実際に攻撃されたら、その時点で改めて国会で武力行使の新3要件を検討している余裕は現実問題として無いでしょう。つまりたとえ「後方支援」目的の派遣であったとしても攻撃されれば日本は直ちに戦闘に巻き込まれることになります。
こうなると自衛隊は「普通の軍隊」と言えるでしょう。だからこそ安倍首相は自衛隊を「我が軍」と「つい」呼んでしまったのではないでしょうか。自民党はこの新安全保障法制の「今国会の会期内」の成立を目指しています。それは6月24日です。あと3ヶ月を切っています。国民が声を上げることが無ければ、自衛隊を「普通の軍隊」にするための法案・改正案は粛々と可決されます。国民の審判を経ることなく。
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