[細川珠生]【危うい中国のインフラ投資銀行】~日本の参加見送りは正しい決断~
Japan In-depth / 2015年4月13日 11時0分
中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)の創設メンバーとして、日本は参加を表明しないとした。この選択に対して、国内から批判の声も多く上がっている。中国問題、経済問題に詳しい評論家の宮崎正弘氏を迎え、この判断について話を聞いた。
AIIBは、中国が主導する国際金融機関であり、英独仏伊をはじめとした50カ国以上の国と地域が参加を表明したが、その細目の定款、規約などはまだ決まっていない。まず、AIIBがドル建てであるということに対し、宮崎氏は懐疑的な見方を示した。人民元の拡大を狙う機関の資本金がドル建てであるということに対し、納得できる説明はない。
さらに英国が加盟する理由について、「世界金融を差配しているウォール街のルールである“シティ・ルール”が破られないようコントロールする意図がある」と宮崎氏は述べた。英国が入ることによって、中国主導でやっていくことが難しくなるかというと、細目が決まっていないのでまだ何とも言えないという。
出資金は現在のところ500億ドルとなっており、中国は50%程度の資本金を出すと言われているが、拒否権がどうなるかがポイントだ。例えば、IMFは85%の賛成がないと決定できないが、15%の株主であるアメリカは拒否権を持つ。AIIBについて「中国が40%の株主になれば堂々と拒否権を持てる。そこが問題だ。」と宮崎氏は指摘した。中国の力が大きくなり、北朝鮮の港湾整備や、日本と敵対する国の潜水艦基地等に融資が行われる可能性があると宮崎氏は懸念を示した。
宮崎氏は中国の本音について、「中国国内の過剰設備投資で余っている鉄や電解アルミ、セメント、建材等を、プロジェクトを持ちこんでどんどん外へ押しつけたい。もう一つは、大量の失業者を海外のプロジェクトを誘致することで吐き出していきたいのだ。」と分析した。さらに、ヨーロッパ諸国の参加について、「EURO圏にとってはドルが弱くなればよい。アメリカの力を相対的に弱めるなら入っておこうという思惑だ。」と述べた。
500億ドルに上る資本金は機関を設立するためのもので、これを使うことはできない。発足してからボンドを発行し、借りたお金を諸外国へ融資する。90年代半ば、ロシアの国債が24%という高利率で、アメリカ等が大量に買ったが、結果デフォルトになった。宮崎氏はこれを例に出し、「利率を上げて投資家に売りまくって売り逃げるということを警戒した方が良い」と述べた。
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