[細川珠生]【農業改革=農協改革ではない】~農業に秘められた可能性~
Japan In-depth / 2015年4月16日 7時0分
ゲストは衆議院議員の斎藤健氏。経産省出身の同氏は自民党の農林部会長を務めている。農業、林業について話を聞いた。
自民党が進めてきた農業改革は、“農協改革”が一つのテーマになっていたと報道されているが、斎藤氏は「新聞やテレビでは、農協改革に焦点が当たっているが、農協にターゲットを絞ってきたわけではない」と述べた。政策・組織・現場の意識の三つの改革が揃わなければ、農業改革とは言えない。農協改革はその中の組織の改革に当たり、これが少し遅れて最後に決着したので、農協改革にだけスポットが当たって報道されていると斎藤氏は指摘した。
やっとまとまった農協改革。何が今までと変わったのだろうか。農協の組織には、全国組織である全中があり、都道府県に中央会があり、その下に個々の農協がある。今までは農協を束ねる中央の力が強かったが、これからは末端の農協が今まで以上に自由に活動できるようになる。
これまで個々の農協は生産に集中していればやっていけたが、人口が減っていく中、これからは生産だけでは日本の農業はジリ貧になっていく。個々の農協が、製造・流通の人たち、さらには外国の人たちなど今までお付き合いのなかった人と関係し、生き残っていく時代なのだ。「今の農協制度ができたときは、経営破綻していく農協をどうやって建て直すかという問題があったため、中央集権的なやり方が良かったが、これからは発想を変えていかなければならない。」と斎藤氏は述べた。
全中から地域の農協が自立していくのは、地方分権と似たところがある。「地方分権では、自立なんてできないという自治体が多いが、農協に関しては?」と細川氏が問うと、斎藤氏は、「今回の改革では選択肢を作った」と述べ、中央も地域の農協の求めがあれば経営相談に乗ることになる、と説明した。つまり農協によって、それぞれのやり方を選択できる制度になったのだ。しかし、新たなやり方へのインセンティブを見せないと、それを選択する農協は出てこない。斎藤氏は、末端の農協の成功事例を中央が横展開していくなどの考えを示した。
経産省で様々な産業政策に関わってきた斎藤氏は、「農業ほど可能性のあるものはない」と語る。輸出一つとっても、日本の美味しくて安全な果物が海外で受け入れられる余地は相当に大きい。日本の果物はその良さを知られれば他の産業に比べても競争力を持つだろう、と斎藤氏は指摘した。
日本の自動車がアメリカで売れるようになったのは、自動車会社の社員が、アメリカで製品を売り歩いたからだ。いくらいいものであっても、売ろうとアピールする努力をしなければ売れない。しかし、家族経営の農家にそれをやれというのは難しい。斎藤氏は、これからの農協の役割の一つをそこに見出している。
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