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[文谷数重]【「沖縄基地問題」安倍首相、次の一手は?】~米・海兵隊国外撤退という選択~

Japan In-depth / 2015年4月17日 23時15分

安全保障での沖縄や基地の必要性は、もちろん中国との対峙のためである。まず自衛隊を置いたが、現状では不足する。そこで米軍を追加しバランスを取ろうといったものだ。だが政府は、その米軍に期待する機能は何かまでは突き詰めていない。中国とのゲームは海空戦力で行われており、海兵隊陸上戦力ではない。中国にとって脅威であり、日米側にとっての抑止力は日米の海空戦力であり、海兵隊ではない。

この点から、海空軍と海兵隊を切り分ける解決法もあり得るのである。例えば、県民感情から特に拒絶される海兵隊を国外撤退させる代わりに、不足する抑止力増強を認めてもらうといったものだ。同じ米軍でも、海空軍であれば海兵隊ほどの拒否感はない。嘉手納での米海空軍航空部隊増強や、勝連への米海軍艦艇増強を呑んでもらう方法もある。

もちろん自衛隊増強でもよい。那覇への海空自増強でもよい。あるいは、普天間の海兵隊跡地に陸自を入れる方法でもよい。ヘリ抜きであり、普天間の一部を市に返還すれば、県の顔も立つ。戦時に普天間飛行場が必要でも、平時は使わない約束で自衛隊管理として残す方法もあるだろう

 

■ 翁長知事は嘉手納には言及していない

この妥協策は県知事にとっても受諾できる範囲にある。意外かもしれないが、県知事はそれほど非妥協的とも見えない。少なくとも現段階ではNoの対象は普天間残置と辺野古新設であり、「粛々」とや「代替案」といった押し付けに限定されている。

何よりも、県知事は「嘉手納について言及していない」ことに注目すべきである。この点からも、妥協策が成立する余地はある。県知事は保守政治家であり、沖縄県は尖閣問題やガス田問題も抱えている。この点で安全保障についても無理解ではない。

安全保障との妥協として、海兵隊を撤退させる代わりに、対中抑止力としての米海空軍増強といった提案は一蹴されるプランではないということだ。そして、このような提案は日米両政府にとっても利益である。嘉手納基地の安定した継続利用について、県の暗黙的同意が得られるためだ。

沖縄が日米安全保障面で重要であることは確かではある。だが、それは嘉手納と那覇が重要であって、普天間や辺野古ではない。そこが県との妥協を探る立脚点となるのである。

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