[須藤史奈子]【自給自足の生活を送る人々の強さ】~ネパール大地震 現地リポート~
Japan In-depth / 2015年5月3日 7時0分
衛星電話を通じての情報をくれた男性は、カナダ人ゲーム・プログラマーのスティーブだ。地震体験は初めてだったという。「最初は何か大きな乗り物が通り過ぎたんだと思った。次の瞬間、窓の外から大きな石がゴロゴロ落ちてくるのが見えたから、慌てて階段を降りたんだ。外に出ようとしたら、今度は目の前に大きな石が落ちてきた。」
ボストン出身のアメリカ人女性は、ナムチェからタンボチェへ向かう山の中で地震にあった。彼女も地震は初めてだったそうだ。「体がグラグラっときて、目の前の山がゆらゆらと揺れるのが見えた。山がそんな風に動くわけない、幻覚かな、と思った瞬間、立っていられなくなって、必死で木の根っこに捕まった。」
さあ、今夜はどうしよう、という話になり、全員がダイニングルームで寝ることになった。一階で上はテラスになっているから、屋内でここより安全なところはないだろう。それにしても、いざ被災した時に全員が寝袋を持っているという状況は珍しい。非常食、救急セット、浄水薬は当たり前、さらには浄水器も持っている人がいる。準備ができているということは、パニックにならないということだ。
また、アウトドア愛好家は、普段から自然に左右されることに慣れているのか、イライラしている人がいない。着の身着のまま、シャワーだって数日浴びなくても大丈夫。「被災」しているという雰囲気がないのだ。 趣味は読書と観劇と映画鑑賞、パニック映画だったら最初に死んでしまいそうな私が、このサバイバル・アウトドア集団の中にいる不思議。40年前、エベレストに世界女性初登頂を果たした日本女子登山隊のドキュメンタリー取材のため、シェルパの村々を訪れた後、せっかくだからカラパタールでエベレストの実景を撮ろう、という計画だった。
外は雪が降っているが、暖炉のお陰で暖かい。水は、雨樋を通して貯めた貯水タンクに豊富にあるし、近くには氷河や雪水が溶けて流れた小川もある。太陽光発電の電気もある。震災にあうと都会が一瞬にして大パニックになるのと比べ、普段から時給自足の生活をしている「陸の孤島」は強い。 帰国予定まで、あと12日間。国際飛行場のあるカトマンズが大被害を被っているとすると、帰れる状況になるまでどのくらい時間がかかるのだろう。他の地域はどんな状況なのだろうか。
(続く)
※トップ画像/ネパール北東部、クンデ村
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