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[上田令子]【バブルの遺産?臨海副都心構想を検証する】~オリンピックに浮かれている場合ではない~

Japan In-depth / 2015年5月9日 11時0分

また、冒頭の豊洲新市場「千客万来」への出店辞退の原因ともなった「大江戸温泉物語」の貸付期間延長と同様、「ヴィーナスフォート」もなし崩し的に延長となっている。期間延長の根拠を質すと「事業者との協議により、まちのにぎわいを創出し、また、土地の有効活用ができる場合には延長を認めている。」とのお役所の所謂、玉虫色の裁量権に依っている言質がとれた。良かれと思って、下した「裁量権判断」が今回の撤退騒動の引き金になったというのも皮肉なものだ。

長年にわたり、モザイクのように進めてきた開発事業なのに、ひとつのピースを崩したことで全体が崩れていくことが予見できなかったのだろうか。まだ未処分地も存在していることからも、このままの状況で開発を進めると、統一感のないまち並みとなってしまい、魅力と付加価値・ブランド力が失われ民間からの投資活動に影響が出るのではないかと危惧している。

一方、昨今は、都心高層化論も活発となり、東京マンハッタン計画とも称される、山手線内側の徹底した高層化を進める大手ディベロッパーが推進する丸の内再開発構想が進められ、通称マッカーサー通りが、2014年3月、新橋-虎ノ門間が開通。新虎通りとして、地域住民と民間事業者が連動し、まちの活性化を目指し、東京シャンゼリゼプロジェクトも「建設局」が中心に展開している。

さながら、多心化副都心政策の置き土産「港湾局」VS新進気鋭の高層化都心集約政策「建設局」という局間闘争に見えなくもない。バブルも弾け、リーマンショックを経て時代の流れが変わっていることからも、この副都心構想と都心集約をどう共存させていくのか議論が必要だ。現状できることとして、例えば暫定利用地については、場当たり的な判断をせず当初計画・契約どおり、原状回復、返還を速やかに断行して全体バランスを崩さないこと、今後、売却、長期貸付、暫定利用と目的が違う三地区のグランドデザインの統一をこれまで以上に厳密に図ることであろう。

計画会議設置以来、28年の歳月と多額の資金を投入した臨海副都心開発事業。豊洲新市場の問題は、オリンピック・パラリンピック招致で浮かれてばかりいられず、シビアに再検証、あるいは英断をも下さねばならならないという警鐘であることを東京都も東京都議会も謙虚に受け止めねばなるまい。

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