[嶌信彦]【世界に拡散するISISの脅威】〜及び腰の米、解決への道のり遠く〜
Japan In-depth / 2015年5月21日 23時0分
さらに厄介なことは、イラン(シーア派)と欧米の核協議の動きも中東情勢を複雑にしていることだろう。アメリカはイランの核開発を穏やかに抑え込もうと目論んでいるが、スンニ派中心の湾岸諸国は納得せず、対イランのアラブ連合に動きだしている。中東のお目付け役だったアメリカが手を引き始めてから中東の政治情勢はますます流動的になっている。地上部隊を出してISISを崩壊する気のないアメリカは「落ち着くまで2~3年はかかる」と述べているが、はたして収まることはあり得るのか。ISISは100年以上前の国境のない中東時代、砂漠の民時代に戻そうとしているともみられ、まだまだ解決までの道のりは遠そうだ。
70年代の中東戦争、イラン革命時期までの中東はワシントン(アメリカ)、テヘラン(パーレビ・イラン国王)、リヤド(サウジアラビア)枢軸が中東を抑えているといわれ盤石だったが、わずか40年で様変わりし、世界の火種、文化遺産の危機にもみまわれている。もし世界の大空港ハブに成長した湾岸のドバイがテロの標的になったりしたら世界は一挙に大混乱となろう。
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