[岩田太郎]【日本国民を巻き込ませない政策を担保する方法】~米中もし戦わば 2~
Japan In-depth / 2015年5月29日 11時0分
作家の五木寛之氏は敗戦を朝鮮で迎えたが、日本政府と日本軍が日本人在留民を見捨て、彼らが辛酸をなめる様子をつぶさに目撃した。その経験から、「国家はいざとなったら、国民を守ってはくれない」と断言する。
敗戦時の満州では関東軍が真っ先に逃亡する一方、「大陸に帝国の影響力を極力存続させるため残置」された前線防衛の盾である移民の多くが外地に棄てられ、無残に殺され、暴行され、略奪された。在満軍人も含め107万人がソビエトに抑留されて過酷な労働を強制され、栄養失調や病気で死亡した34万人が異国の凍土に埋葬された。サイパンなど南洋方面では民間人が玉砕を強いられ、内地の沖縄では軍が同胞の民間人を、まるで敵のように扱った。本土では、防空法による空襲時の逃亡禁止や軍の指導で、各都市で多くの市民が犠牲となった。
安全保障法制の関連法案審議の前に歴史に学び、政府や自衛隊が国民を守るために存在すること、そして交戦は米国の利益ではなく、日本の国民と国土を防衛するものしか許されない政策を担保しなければならない。
安倍晋三首相以下、閣僚や官僚は「日本が米国の戦争に巻き込まれることは絶対にない」と断言している。では、責任の担保を差し出させよう。実際に巻き込まれた場合に、法案に賛成の議員をはじめ、すべての立法責任者・関係官僚を終身禁固刑や全財産没収などの厳罰に処する規定を盛り込む。免責なし、時効なし、情状酌量なし、遡及可能にする。「絶対に巻き込まれない」のだから、処罰の可能性は0%。原発事故の可能性より低い。首相をはじめ、喜んで応じるだろう。
(つづく。本シリーズ全4回。本記事は、第1回「 【佐藤元首相と安倍首相の「日本は巻き込まれない」】~米中もし戦わば 1~」の続きです。第3回は「戦前日本と現代中国の『アジア人のためのアジア』」、第4回は「米中戦争は不可避か~中国の自己実現預言の自縛~」。)
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