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[俵かおり] 【エチオピアの美しき“自由人”】~放牧民ソマリ族の男になぜ惹かれる~

Japan In-depth / 2015年5月30日 18時0分

[俵かおり] 【エチオピアの美しき“自由人”】~放牧民ソマリ族の男になぜ惹かれる~

エチオピアの南東部はソマリアと国境を接する地域で、この地域はエチオピアでありながら、「ソマリ州」という名がついている。その名の通り、民族的にも隣国ソマリアと同じソマリ人。彼らの言葉はソマリ語であり、言葉も文化もエチオピア国内の他の地域とは全く異なる(エチオピアの主要言語はアムハラ語だが、ソマリ州ではソマリ語)。 電話の「国番号」もソマリア国境に近い場所では他のエチオピアの地域とは異なるため、この地域ではエチオピアの他地域で使っている携帯電話が使えないほどだ。

このソマリ州は隣国ソマリアからの難民が多く流入し、難民キャンプもいくつもあるため、私はこの地域に仕事でよく行く。その際に、同僚のエチオピア人(アディス・アババ出身)がこの地域のエチオピア人と話すのに英語を使っているのを見て不思議な感覚がする。

エチオピアのソマリ人とソマリアのソマリ人。元々は同じ民族であるのに、植民地争奪が激しかった19世紀半ばに英国が国境の線を引き、ソマリ人は別々の国に分断されて暮らすことになった。標高数千メートル級の山々の中で生活をする北部のエチオピア人と違い、低地で、かつ暑く、乾ききった土地に住むソマリ人は遊牧民。羊やヤギを飼い、水を求めて生活の拠点を常に変えるそのライフスタイルは自由だが、現代の生き方にはそぐわず、貧しい暮らしをしている人が多い。

 



(写真:ラクダ使いのラクダ。乾燥したこの地では貴重な水を飲む。Photo/Kaori Tawara)

このソマリ人、一見強面だが、話してみるととてもフレンドリーでオープンで親しみやすい。しかし、几帳面で陰湿とも言われる北部のエチオピア人(アディスアババのエチオピア人も含む)はソマリ人を「怠け者だ」と馬鹿にする。確かに、こちらでは有名なチャット(英語:Khat)と呼ばれる葉っぱの麻薬(噛むと精神が高揚する常緑樹の一種。エチオピアでは合法で特にソマリの男たちは毎日のように噛んでいる)、お昼頃から噛み始め、午後はほとんど仕事をしないでいる人も多い。

暑い日照りにも対応できるよう、伝統的衣装は男性でもロングスカート。背丈はすらっとしていて美しい。ファションモデルにもソマリ人はたくさんいる、とも聞く。この美しい自由人、ソマリ人に惹かれるのは私だけではないだろう。

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